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No. タイトル 作者 登場人物 398 誰も私を責めることはできない ◆NZAAAAAAAA ドロッチェ、夜神月、白鷺弓子、中島朱実、エルルゥ、瀬戸豪三郎、無常矜侍 399 399 ID BVZad8iw おばば 400 主催案 ID 7cpEFg9W カオス、ポアンカレ、ニュートン、ラプラスの魔 401 Have A Nice Day(ごきげんよう!) ID 3IUUTIC7 ポスタル・デュード、ルイズ 402 ハクオロに恨みがあるわけではない ◆CUG3z3uZ1o ハクオロ、ユズハ、オボロ、アルルゥ、カミュ 403 こないで!キンタマン!! ◆UkdlMpDfqA 真紅、クロッチー 404 ロミオとジュリエット ◆f51xTOCP3Q 阿部高和、アーカード、衛宮士郎、平賀才人、劉鳳、桜田ジュン 405 405 ID 0DQF2a1JID 9tqSq6/v 小惑星、二次創作リレーでバトルロワイアル、小惑星2つ 406 大切な人を探して ◆UkdlMpDfqA 翠星石 407 愛と殺意の地球博 ID w5iMk/EH モリゾー、バーサーカー 408 父さん発明の母 ID nSthEyEz 磯野波平、波野ノリスケ、野比玉子、しょくぱんマン 409 暴君 ◆UkdlMpDfqA タイラント、蒼星石、ユズヒコ 410 410 ID iRUiEFqW ジェフ 411 ウルトラミキサー(初期のドラえもんより) ID AGkGnFyU ドラえもん、野比のび太、タマ 412 ウルトラミキサー2 ◆CUG3z3uZ1o ドラえもん、野比のび太、タマ、沢渡真琴 413 短くてスマソ ID lfc1wDFe アーミック、平賀才人、野比玉子、サム・ヒューストン 414 414 ID 3964C6M9 波野ノリスケ、水銀燈 415 救世主の黄昏 ◆UkdlMpDfqA 翠星石、衛宮士郎、竜宮レナ 416 阿部高和と掘りたいぞう ◆CUG3z3uZ1o 阿部高和、ホリ・タイゾウ 417 417 ID VV+NI3xo アンパンマン、翠星石 418 魔法老人育てます ID yp3h3dnA 磯野波平、かみなりさん、野比玉子 419 エヴォリューション ◆7i2MCpKwEE ドラえもん、波野ノリスケ、水銀燈 420 目には目を、腹減りにはパンを ◆CUG3z3uZ1o 野比のび太、タマ、沢渡真琴、ドラえもん、タイラント、アンパンマン 421 地球博の中心で愛を叫んだ毛玉 ID buGzzZJn モリゾー、ストレッチマン、ニャンチュウ、わくわくさん、ガチャピン、ジャーニー、がんこちゃん 422 今日もディアボロ ◆vLzC6bMkR2 ディアボロ 423 ひとごろしはいけないことです ID /OHTjo0P ポスタル・デュード、大石蔵人、女神イシター、トルネコ、海馬瀬人 424 424 ID OlSujExY ゴルゴ13、ムック、ドナルド、野比玉子 425 鼠vs家鴨 ID oeUySemi デイジー、三木鼠、三二鼠 426 さらばヤマト ID 689Kp5tW 劉鳳、波野ノリスケ、水銀燈、絶影 427 一行でディアボロ ID QT0a1Yw7 ディアボロ、水銀燈 428 もぎ取れおっぱい! ID yMQpZuei 波野ノリスケ、水銀燈 429 正直このイベントは初回ビビタ ID RI9GEEeg 飼育員、野比玉子 430 初回のこのイベントでリセットした奴いるかなw ID sllP/A5Z 雷電、大佐、女神イシター 431 シロウの大冒険 ID JZ44ayBn 衛宮士郎 432 名無しさんの覚醒 ◆ZERO/Z.ZZs 男1、野比玉子 433 自主規制 ID PUG5FAFJ みさくらなんこつ、シグナム、八神はやて、柊つかさ、始末屋さっちゃん、ドミニク・ザ・サイクロプス 434 ジャンクヤード・テラカオス ID SleYm8hv 波野ノリスケ、水銀燈、ディアボロ、野比玉子、大佐、ゴルゴ13、ムック、ドナルド 435 首無しお銀の旅路 ◆ZERO/Z.ZZs 水銀燈、野比玉子、C3、雪華綺晶
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naviで指定しているページは存在しません 水銀燈 ,. -ー' 二二二 ー- 、 //  ̄__  ̄` ヽ /〃' /´ノ〉) _ノ_ノ \ //´ __,ィ ゝ-' __, -──- 、 ヽ /゙ / ̄ ̄\ ヽ\ ヽ \ ハ__ ! / i ヽ ', ヽ \ ヽ ,仁》 _ | ハ ', i } ! ! ', ノ||\ 《ニハ_ゞ、 \ \ ! || | |__ || l | \ ソ|| \\ \ \ | .从,ィ匕Lィ|| | | 〈´ | '、 \\,>≧ゝ, |/ /,ィヌニミ、|i | l | ハ \ `卞代ツミ ヾ′ ''' / // ト、 , --─. ´ .`ヽ、 〈/| } ヽ,\ \`¨´ 、 / // / l ヽ / /  ̄ / ; ィ \ //| |\\, __> - ´ イ!// / ! ∨ ' ──- 、 . .. / ハ ∨ム'〉 「` ゝ,\_ ≧ュ,fヽ_ .ィ─ヘ,ィ l |l / __ \  ̄`ヽ . .. . . //__;/ | | ヘ ! l | ハ; _ ヽl l| 〈 \ \ ヽ . /; /// ! / } | l !/ ∨ }/ / / ハ`ゞ 、 \\ ヾ ∨/! | / | | ノ| ト-ーく /_」 / / / ヽ ヽ\ ヽ \ //| レ | | _〉 } ─ー、ヾ才/} / \ \\〉\ ,// /ヘ ! / 〉ヘ!  ̄\ヽ)= 、/ / \ ` .// // 人 |/ { `入_ ゝ}_ソ/`´}/ } /´// / /| (\__  ̄Z_r、_「| ノ ト、 // / // ヽ;__ / 〔 ゝ,>、 _,ィ'7´} ! ゝ、 .{′ / // / | |  ̄`斗、 \r 、 Y 厶ノ ノ ) ルーンフォーク 女 整備工 解説 倫太郎に起動されて以来彼の会社で働いている、手先は器用 出典 Rozen Maiden
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No. タイトル 作者 登場人物 398 誰も私を責めることはできない ◆NZAAAAAAAA ドロッチェ、夜神月、白鷺弓子、中島朱実、エルルゥ、瀬戸豪三郎、無常矜侍 399 399 ID BVZad8iw おばば 400 主催案 ID 7cpEFg9W カオス、ポアンカレ、ニュートン、ラプラスの魔 401 Have A Nice Day(ごきげんよう!) ID 3IUUTIC7 ポスタル・デュード、ルイズ 402 ハクオロに恨みがあるわけではない ◆CUG3z3uZ1o ハクオロ、ユズハ、オボロ、アルルゥ、カミュ 403 こないで!キンタマン!! ◆UkdlMpDfqA 真紅、クロッチー 404 ロミオとジュリエット ◆f51xTOCP3Q 阿部高和、アーカード、衛宮士郎、平賀才人、劉鳳、桜田ジュン 405 405 ID 0DQF2a1JID 9tqSq6/v 小惑星、二次創作リレーでバトルロワイアル、小惑星2つ 406 大切な人を探して ◆UkdlMpDfqA 翠星石 407 愛と殺意の地球博 ID w5iMk/EH モリゾー、バーサーカー 408 父さん発明の母 ID nSthEyEz 磯野波平、波野ノリスケ、野比玉子、しょくぱんマン 409 暴君 ◆UkdlMpDfqA タイラント、蒼星石、ユズヒコ 410 410 ID iRUiEFqW ジェフ 411 ウルトラミキサー(初期のドラえもんより) ID AGkGnFyU ドラえもん、野比のび太、タマ 412 ウルトラミキサー2 ◆CUG3z3uZ1o ドラえもん、野比のび太、タマ、沢渡真琴 413 短くてスマソ ID lfc1wDFe アーミック、平賀才人、野比玉子、サム・ヒューストン 414 414 ID 3964C6M9 波野ノリスケ、水銀燈 415 救世主の黄昏 ◆UkdlMpDfqA 翠星石、衛宮士郎、竜宮レナ 416 阿部高和と掘りたいぞう ◆CUG3z3uZ1o 阿部高和、ホリ・タイゾウ 417 417 ID VV+NI3xo アンパンマン、翠星石 418 魔法老人育てます ID yp3h3dnA 磯野波平、かみなりさん、野比玉子 419 エヴォリューション ◆7i2MCpKwEE ドラえもん、波野ノリスケ、水銀燈 420 目には目を、腹減りにはパンを ◆CUG3z3uZ1o 野比のび太、タマ、沢渡真琴、ドラえもん、タイラント、アンパンマン 421 地球博の中心で愛を叫んだ毛玉 ID buGzzZJn モリゾー、ストレッチマン、ニャンチュウ、わくわくさん、ガチャピン、ジャーニー、がんこちゃん 422 今日もディアボロ ◆vLzC6bMkR2 ディアボロ 423 ひとごろしはいけないことです ID /OHTjo0P ポスタル・デュード、大石蔵人、女神イシター、トルネコ、海馬瀬人 424 424 ID OlSujExY ゴルゴ13、ムック、ドナルド、野比玉子 425 鼠vs家鴨 ID oeUySemi デイジー、三木鼠、三二鼠 426 さらばヤマト ID 689Kp5tW 劉鳳、波野ノリスケ、水銀燈、絶影 427 一行でディアボロ ID QT0a1Yw7 ディアボロ、水銀燈 428 もぎ取れおっぱい! ID yMQpZuei 波野ノリスケ、水銀燈 429 正直このイベントは初回ビビタ ID RI9GEEeg 飼育員、野比玉子 430 初回のこのイベントでリセットした奴いるかなw ID sllP/A5Z 雷電、大佐、女神イシター 431 シロウの大冒険 ID JZ44ayBn 衛宮士郎 432 名無しさんの覚醒 ◆ZERO/Z.ZZs 男1、野比玉子 433 自主規制 ID PUG5FAFJ みさくらなんこつ、シグナム、八神はやて、柊つかさ、始末屋さっちゃん、ドミニク・ザ・サイクロプス 434 ジャンクヤード・テラカオス ID SleYm8hv 波野ノリスケ、水銀燈、ディアボロ、野比玉子、大佐、ゴルゴ13、ムック、ドナルド 435 首無しお銀の旅路 ◆ZERO/Z.ZZs 水銀燈、野比玉子、C3、雪華綺晶
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ジュンと水銀燈が同居しているようです。 J「おい水銀燈。いい加減起きろよ」 水「(うるさいわねぇ………少し驚かしてやろうかしら)」 J「水銀燈遅刻s」 銀「私に触れるなっ!」 J「す、水銀燈?」 銀「朝からごちゃごちゃと五月蝿いわねぇ………ジャンクにするわよ?」 J「………ごめん」 銀「えっ?あっ、分かればいいのよぉ」 銀「(なんでそんな悲しそうな顔するのよぉ。いつもみたいに怒ればいいのにぃ………)」 J「じゃあ………先に学校行ってるから………」 銀「ちょ、ちょっとj」 バタン。 銀「………なによぉ。これじゃあ私が悪者じゃなぁい。ジュンのばかぁ………グスグス」 ジュンが水銀燈に謝るようです コンコン。 銀「誰ぇ?」 J「僕だ。入ってもいいか?」 銀「………好きにしなさぁい。」 銀「(今朝の事謝らないといけないわねぇ………)」 J「じゃあ入るぞ」 ガチャ。 銀「今朝はg」 J「今朝の事だけど………」 銀「え、えぇ」 J「なんかその………勝手に部屋入ってすまなかった。いくら同居先の人間だからって図々しかったよな………」 銀「それはb」 J「これからはあんな事無いようにするから許してくれないか?」 銀「………済んだ事だしもういいわよぉ」 J「ありがとう………じゃあおやすみ」 銀「おやすみなさぁい………」 バタン。 銀「なによぉなによぉ………やっぱり私が悪者じゃなぁい。ジュンのばかばかぁ………グスグス」 水銀燈が朝を迎えたようです。 銀「泣いてたら寝ちゃってたみたいねぇ」 銀「今日はちゃんと謝らないと………」 ピリリリリリ。 銀「こんな時間に誰よぉ。もしもしぃ?」 J「なんだ起きてたのか」 銀「ジュン?なんで電話なのぉ?」 J「昨日もう無断でお前の部屋に入らないって言っただろ?」 銀「そうだったわね………」 J「起きてるならもう切るぞ?」 銀「ま、待って!」 銀「(これはチャンスよ水銀燈!これを逃したらもう謝れないわ!!)」 J「どうかしたのか?」 銀「昨日の事だけど………」 J「………うん」 銀「ごめんなさい!」 J「な、なんでお前が謝るんだよ?」 銀「実はねぇ………昨日の朝五月蝿かったから少しジュンを驚かそうと思って………」 J「それであんな事言ったのか?」 銀「そうなの………」 J「なんか一気に力が抜けたよ………」 銀「私の事許してくれるぅ………?」 J「許すも何も始めから怒ってなんかないよ。じゃあ今度から前と同じで良いんだな?」 銀「えぇ。お願いするわぁ」 J「分かった。じゃあまたな」 銀「またねぇ。」 バタン。 銀「やっと仲直りできたぁ………一日遅いけどプレゼントありがとう。サンタさん」
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47 :371@銀剣物語 ◆snlkrGmRkg :2007/10/20(土) 01 32 12 氷「前回はやたら長いスペシャルで、読んでくれた皆も大変だったろうな」 銀「そうねぇ。 そして今回は、まぁた埋め立てにラジオが間に合ってないしぃ。 監督自重しなさい」 氷「以前も言ったが、元々このラジオのコンセプトは 『新スレが出来た後の前スレ埋め立て促進企画』 というものだからな。 ラジオを投下するまでもなくスレが埋まるというのなら、 わざわざでしゃばる必要もない、とは思うが……」 銀「でも、やって欲しいってレスがあったのも事実なのよねぇ。 選択肢を提示して五票集まった以上、作者としては書くのが筋ってものだしぃ」 氷「とにかく、今回の反省点は 25でも指摘されている通り、 ラジオの準備をもう少し速く始めること、そして選択肢が決定したら迅速に書き上げて投下すること、だな。 残りレス数が少なくなってくると、ラジオのネタを募集する間も無く埋め立てが終ってしまう」 銀「そうねぇ。 前は新スレが立ってからラジオの告知をしてたけど、今回はそれじゃ間に合わなかったし」 氷「スレ立てに関する明確なルールがないのも問題なのかも知れんな。 2のテンプレに『スレ立ては 950がすること』とでも書いておくか」 銀「まあ、それは次のスレ立てをする人に任せればいいんじゃない? どうしても何とかしたいなら、監督が自分で次スレを立てればいいんだし」 氷「そういうことになるな。 さて、軽く反省会も終ったことだし、そろそろタイトルコールに移ろうか。 氷室と……」 銀「水銀燈のぉ」 「「銀剣物語らじおー!」」 氷「さて、今回で第八回となったわけだが……今回もまた、随分と本編が停滞していたようだな」 銀「ホント、いつまで経っても続きが書けないなんて、みっともなぁい。 新しい住人とかには、そろそろいらないって思われてるんじゃないのぉ?」 氷「そう思われても仕方が無いな。 監督としても予想とは違う選択肢に決定したりして、かなり苦しんだらしいが。 一歩間違えれば、銀の字の出番はここで終わりだった、らしいぞ?」 銀「お、恐ろしいことを言わないで頂戴。 まだまだ予断を許さない展開の最中なんだから」 氷「さて、せっかくの新スレをだらだらと消費していては申し訳ない。 さっそく今回の質問に答えていこうではないか」 48 :371@銀剣物語 ◆snlkrGmRkg :2007/10/20(土) 01 33 18 銀「と言っても、今回は慌しかったせいか、質問もあまり無かったわねぇ」 氷「まずはこれか。 974からの質問、『(part16の) 487の選択肢の穂群原の学生って誰?』 確かに、αはキャスター、βはアーチャーで確定だと分かるが、γだけは誰なのかわからないな。 これが一体誰なのか……実は、この段階ではまだ決めていなかったらしい」 銀「えぇ? 随分適当なのねぇ」 氷「夜中、新都に居そうな学生を何人か挙げて、再び選択肢で決めるつもりだったそうだ。 候補としては、私や間桐慎二、後藤君あたりか」 銀「ご、後藤って誰……? そんなキャラを出してストーリーが続くの……?」 氷「まさかの後藤君ミーディアム化もあったかも知れないな。 惜しいことをしたな、銀の字」 銀「いらない……そんなサプライズはいらない……」 氷「もちろん、そうなったら監督もキャラが把握できなくて悶絶しただろうがな。 まとめwikiの停滞作品行きになるくらい投下が遅れたかも知れん」 銀「ああ……そりゃ選ばれなくって良かったわねぇ……」 氷「銀の字がやたら消耗しているので、手早く次の質問へ移ろうか。 975より、『水銀燈in言峰教会は気になる選択肢ばかりだったので、他のを選んでいたらどうなっていたかは知りたいかも』」 銀「台本を読んだ限りでは、私が一人で教会にやってきた時点で、身体部位を失うことは確定だったらしいわね」 氷「それまでの流れ等もあるから、個別にどの選択肢でどうなった、という解説は出来ないが……選択肢によって、何箇所の部位を失うことになるのかが決定するようになっていたようだ」 銀「一箇所で済む可能性もあった、ってことね」 氷「逆に、ここで水銀燈の消失も有り得たらしいので、それを考えれば二箇所欠損で済んだのは多少マシと言えるのではないか? もちろん、ベターとも言い難いが」 銀「全く、こんなことになるなんて、最初の頃は思っても見なかったわぁ」 氷「そうかな? 監督は、ローゼンメイデンを題材にすると決めた時点で、部位欠損ネタは使わねばならないと決めていたらしいぞ?」 銀「なにそれ、一年以上も前から計画通りだった、ってわけぇ? 今回は運よくそういう流れになったからいいけど、選択次第では書けたかどうかわからないくせに。 予想外の選択肢が選ばれたときに限って、文章が書けなくなって停滞したりするんだから」 氷「まあ、監督も我ながら良く続いてるものだと思っているんだろう。 というか、銀剣物語を開始当初から読んでくれている人がこのスレにどれだけいるのやら」 銀「隣町での聖杯戦争が、一度登場人物をまとめようって話をしてたけど。 銀剣物語も他人のことは言えないわよ。 そろそろ話の筋がわかんないって人が多いんじゃないの?」 氷「そうだな……。 スレも新しくなったことだし、ここで一つ、これまでのまとめのようなものを作ってみるか」 銀「って、ちょっと待って、他の作品の感想は?」 氷「む……ローゼンと型月以外のオススメ作品か。 監督は『それは秘密! なぜならそのほうがカッコイイから!』 とか言っていたが」 銀「ちっとも秘密になってないわよソレ。 知らない人でもgoogleで調べたら一発でわかるじゃない」 氷「ヱヴァンゲリヲン新劇場版に関しては、見る機会を逃したので割愛させてもらう。 まあ、なんだ、作者のことより作品のことを話そうじゃないか?」 銀「……なぁんか言いたくないことでもあるのかしらね? まあいいけど。 それじゃ、今回は他作品への感想、特別編ってことにしましょうか」 49 :371@銀剣物語 ◆snlkrGmRkg :2007/10/20(土) 01 35 09 他作品感想 No.4(特別編) 『銀剣物語』 作者:371@銀剣物語 ◆snlkrGmRkg 氷「感想と銘打っておきながら、今までのまとめのようなものなのだが」 銀「いいんじゃない、感想を書いても自画自賛か自虐にしかならないんだし。 さっさと説明に入りましょうよ」 氷「む……まあ、確かにそうだな。 ではまず、これまでのストーリーから説明していこうか。 基本コンセプトとしては『Fateキャラクターがローゼンメイデンのミーディアムになったら』だな。 Fate側の設定としては、『後日談。』の世界に当たるわけだ」 銀「そこに、私たち薔薇乙女がやってきて、アリスゲームを行うってわけね」 氷「そういうことだ。 本編の進行に関しては、以下に大まかなタイムテーブルを書いてみたので、それを参照してほしい」 一日目(日): 家の前で鞄を拾う。 水銀燈と出会う。 水銀燈と契約を結ぶ。(第一話完結) 二日目(月): 三日目(火): 四日目(水): 氷室を屋敷に招く。(第二話完結) 五日目(木): 学校に来なかった氷室を探す。 nのフィールドで雛苺と戦う。 氷室と雛苺、契約を破棄する。 家の住人に、薔薇乙女のことがばれる。(第三話完結) 六日目(金): アーチャーと学校屋上で会話。 キャスターと柳洞寺で会話。(第四話完結) 七日目(土): 真紅に会いに行く。 nのフィールドで真紅と薔薇水晶を目撃。 水銀燈と決別する。(第五話完結) 衛宮家で人生ゲーム開催。 氷室から告白される。 水銀燈、教会で雪華綺晶と遭遇。←いまここ 銀「今は七日目の深夜なんだけど……こうしてみると七日目って色々な事が起こりすぎねぇ」 氷「激動の一日だな。 ソレに比べて、二日目などは意外なほどに動いていないというべきか」 銀「あら、鐘にとっては重要なターニングポイントじゃない」 氷「むっ……そういえば、本編で銀の字と初めて出会ったのも第二話だったか」 銀「もう随分と昔のことのように思えるけど……実はまだ、あんまり物語は進展してないのよね」 氷「そうだな。 本編の進行具合は、以下のミーディアム対応表を見て貰えれば分かるだろう」 衛宮士郎——水銀燈 アーチャー——真紅 氷室鐘——雛苺 言峰綺礼(?)——雪華綺晶(?) アヴェンジャー(?)——薔薇水晶(?) 銀「驚くべきなのかそうでもないのか……まだ全てのドールが登場してないのよね」 氷「関係が確定しているものに限れば、まだ3組しか揃っていないぞ。 下の2組はまだ、本編内で確定したと明言されていないからな」 銀「本当、一年以上も続けておいて、なにをやっているのかしらね。 第四ドール辺りはともかく、第三ドールなんかは出番が無くて不貞腐れてるんじゃないの?」 氷「確かに、彼女たちよりも先に雪華綺晶が登場したのは意外だったかもな。 しかし、登場順序がこうなったのも、少なからず必然性があったからこそだ。 彼女たちの出番もそう遠い話ではないだろうから、期待して待っていて欲しい」 銀「……とまあ、まとめてみると意外と短かったわね。 それだけ内容が薄かったってことなのかしら」 氷「意外と、こういう企画こそが本来の銀剣らじおの正しい在り方なのかも知れんがな。 なお、銀剣を詳しく読んでみたいなら、まとめwikiで最初から読む事が出来るのでそちらを利用してほしい」 銀「では、今回はそろそろお開きにしましょうか。 監督、次回の課題、忘れないようにね?」 「「それではー!!」」
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春 1 月 【全裸祭り】 2 火 3 水 4 木 5 金 6 土 7 日 8 月 9 火 10 水 11 木 12 金 13 土 14 日 【桜の花見】 15 月 16 火 17 水 18 木 19 金 20 土 【乳酸菌祭り】 【水銀燈の誕生日】、【金糸雀の誕生日】 21 日 22 月 23 火 【我様の聖誕祭】 夏 1 水 2 木 3 金 【肝試し】 4 土 5 日 6 月 【断食】 7 火 8 水 9 木 10 金 【成人式】 【やる夫の誕生日】【雛苺の誕生日】 11 土 12 日 13 月 14 火 15 水 【お盆】 16 木 17 金 18 土 【ボンダンス☆パレード】 19 日 20 月 21 火 22 水 23 木 秋 1 金 【やらない夫の誕生日】、【薔薇水晶の誕生日】 2 土 3 日 4 月 5 火 【ガチホモ記念祭】 6 水 7 木 8 金 9 土 10 日 【大運動会】 11 月 12 火 13 水 14 木 15 金 【月と朝まで討論会】 16 土 \\イマココ// 17 日 18 月 19 火 20 水 21 木 【紅茶パーティ】 22 金 23 土 【ハロウィーン】 【雪華綺晶の誕生日】 冬 1 日 2 月 3 火 4 水 【漬物作り】 5 木 【翠星石の誕生日】、【蒼星石の誕生日】 6 金 7 土 【像造り大会】 8 日 9 月 10 火 11 水 12 木 13 金 14 土 【合唱コンクール】 15 日 16 月 17 火 18 水 19 木 20 金 21 土 【真紅の誕生日】 22 日 23 月
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「いやぁ快晴だ。」 「良い天気だね。」 「雲ひとつ無いな。」 「そうだね。」 「というか何のイベントも無いな。」 「・・・・。」 「なんで銀様はさっぱり現れないんだよぉおおおおおおおおおお!」 (マスターが居るからじゃ・・) ー水銀燈は俺の嫁!? 4th stage ー なんだかんだで俺と蒼は出会ってから一ヶ月以上・・二ヶ月になるかな?ぐらい経った気がする そりゃもう一人だった頃より楽しく幸せな生活を送れている 仕事から帰ってきて、玄関をあけるとぱたぱたと可愛い足音を立て 待ち侘びた様に満面の笑みを浮かべて「おかえり」とこんなに可愛い娘が声をかけてくれて 食卓には美味しいご飯の数々、「美味しいよ」と言うとテレながらも喜んでくれる きっと現代成人男性の8割はこんな幸せを経験して無いと言えよう でも! でもでも! 俺はこういう生活を銀様としたかったのよぉおおおお! 仕事から帰ってきて、玄関を開けても誰もおらず!ため息をついてリビングに行くとそっぽ向いた銀様が居て! 「・・遅い。いつまで待たせるのよ。」と寂しそうに背中を向いたまま言われて! だが悪態をつきながらもしっかりご飯は作ってあり!「美味しいよ」というと「ばっかじゃなぁい・・ふん」とか言ってまだスネてて! 「食べさせてあげるよ、あーん」というと顔を真っ赤にしてそっぽ向いて「ほ・・ほんとにほんとにおばかさぁん!! 人間如きとそんなことするわけ無いじゃないの!」 「あーん」 「だっ・・だからしないって・・」 銀様は背を向けたまま言う 「そっか・・」 とちょっと寂しそうに俺が言うと 「あ・・」みたいな顔をして振り向いたところに すかさずスプーンをさしこんで! 「も・・もう!知らないんだからぁ!」 って言ってそっぽ向いちゃって 後ろ向いてるから見えないんだけど実は嬉しそうな顔をしてたりなんかして! 「あ・・あの・・マスター大丈夫?」 はっと我に返る いつの間にか妄想を口に出してしまってたみたいだ 「あっ・・ごめんごめんついつい盛り上がって・・」 罪滅ぼしの様に俺は蒼を持ち上げて撫でてあげる もちろん俺だって蒼が一人の女の子だという事も自覚してる 自惚れかも知れないが一緒に暮らしているのに、他の娘と一緒に暮らしたいというのは失礼だろう 「マスターはさ・・やっぱりまだ水銀燈のマスターに・・なりたいの?」 ちょっとしゅんとした感じで蒼が呟く 「ああ、もちろんその上でお前も蔑ろにしないよ、約束だしな。」 より強くその頭をわしゃわしゃと撫でてあげる いつもはそうすると嬉しそうにはにかむのだが今日は違った どんどん寂しそうにするばかりだ 思えば蒼も良く耐えてきたと思う 俺は蒼に水銀燈ほ話ばかりしてきてしまった あまり好きではないだろうに思い出話も聞かせてもらったり、どういう娘かとか聞いたり 正直気持ちの良いものじゃなかったと思う それでもずっとついてきてくれたんだもんなぁ・・ なんか償いとかできないかな・・・そうだ。 「なぁ、蒼?」 「なぁに?」 「明日ちょっとピクニックでも行かないか?」 暗かった蒼の表情が少し緩む 「あ・・う・・嬉しいんだけどさ、でもボクの姿が曝されちゃうと・・」 またしゅんとした表情になってしまう 「大丈夫、とっておきの場所があるから・・ね?」 その頭を三度撫でてやるといつものように嬉しそうにはにかんだ 「う・・うん!ありがと、マスター・・。」 蒼は眼を瞑って喜びを隠す様に静かに言った ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ おっおっおでかけ!ますたーと二人っきりでピクニック! 考えただけで何故だか胸が躍ってしまう うう・・この偏愛もマスターの影響なのかな・・ ボクのマスターへの想いは月日を重ねるうちに誤魔化しようの無いモノになっていた だからこそ水銀燈が、水銀燈にばかり眼を奪われるマスターが憎い ボクはこんなにもあなたを思っているのに・・ ってああ!何を言ってるんだボクは! 自分の感情なんかでマスターに迷惑かけちゃダメだ!ボクは・・ドールなんだから・・っ! 今、マスターはお風呂に入ってる 今のうちに明日の準備しなきゃ! 今は水銀燈の事は考えるのはやめよう ただ明日のピクニックのことを考えてよう ああ本当に楽しみだ・・ 早起きしてお弁当作って レジャーシートの上でお弁当を広げて一緒に食べさせあって マスターはきっと笑顔で「美味しいよ」って言ってくれる で・・できたら・・あ・・「あーん」なんかも・・できたら・・っ! う・・うああ・・は・・恥ずかしくて・・かっ・・顔がっ・・ぁうう・・ ガッシャーン!!!! 「!?」 お風呂場から大きな音が聞こえた まさか・・? 「マスター!?だいじょ・・・?」 そこに既にマスターの姿はなく、代わりに眼前の巨大な鏡が光に包めれていた 「誘ってるつもりか水銀燈・・っ!」 マスターの純粋(?)な想いを利用してまで君は・・っ! 赦せない・・絶対赦せない!! 「水銀燈おおおおおおおおおおお!」 ボクは意を決して鏡の中に飛び込んでいく 「あらぁ?早かったじゃないのぉ、よっぽどこの子が心配ィ?」 廃墟の様な町のフィールド、そこの中央にそびえる小高い塔の上に水銀燈は居た 隣ではマスターが翼につかまれ助けを・・いやあれは興奮してるだけか・・ 心配してきたけど思ったとおりで少し気が抜けてしまう 「さて蒼星石ぃ・・?取引とまいりましょ?」 くすくす笑いながら水銀燈が言った 「どうせボクのローザミスティカを渡せとかふざけたことを言うんだろう!」 「あら、渡さないのぉ?なら良いわ、このまま少し翼に力をこめるだけんなだからぁ・・」 マスターの表情が少しゆがむ 流石に苦しいみたいだ 「ま、待て!くそっ・・卑怯だぞ水銀燈ぉぉぉ!」 「吠えないの・・レディらしくないわよぉ?まぁあんたがこの変態を想ってるのは誰でも一目見ればわかるからねぇ・・ ただの力の媒介に・・はっ、ちゃんちゃらおかしいわね」 こいつだけは・・この女だけはっ 「そんな小細工をしないとボク一人ごときを倒す自信も無いっていうのかい。」 彼女はそこまで挑発に強くない あからさまにムッとしたのがわかった 「最強のドールが聞いてあきれるね!人質を取らないとボク一人すら仕留められないのかって言ってるんだよ! そんなだから・・ジャンクなんだよっ!行くよレンピカ!」 ボクはハサミを構えて一歩前へ・・出るっ 「小物風情がナメてんじゃないわよぉぉぉぉぉっ!」 それと同時に水銀燈が片翼で攻撃してくる 先手はこちらだ、そのままステップで左へ避ける あのお風呂場の時とは違うっ 先手を取って行動に出れば・・勝つことも夢じゃないっ! 更に言うと今の水銀燈は激昂している! このまま挑発し続ければいつかマスターを離す! 「ちっ・・接近されたら困るのよっ!」 片翼を自在に操る水銀燈 ぼくはそれを左に右によけて水銀燈に接近する 正直、遠距離では勝てる気がしない。攻撃の術が無いのだから。 だが接近すれば逆だ!あの小回りの効かない翼ではボクのハサミには敵わないし 彼女の剣術如きなら、軽くあしらえる! 「前から君が邪魔だったんだ、水銀燈ォォッ!」 「この男が私を想うから!?求めるから!?ずいぶん甘ちゃんになったじゃないのぉ!つまんなぁい! つまんなぁいつまんなぁい!そんなの・・っつまんないわよぉぉぉっ!」 水銀燈の羽の嵐と翼の攻撃が激しさを増す だが問題ない、怖いのは翼の直撃だけだ 羽の嵐なんて視界を遮る霧にすらならないっ! ここら辺まで来たら水銀燈はしびれを切らしてマスターを離し 両翼でボクを攻撃するハズだ チャンスは・・その一瞬! 「さぁもう後が無いぞ!どうする水銀燈!」 「生意気になったものね・・甘ちゃんのクセにぃぃっ!」 来た!両翼が容赦なくボクに向かって放たれ マスターが中空に放り出される 「マスターっ!」 ボクは放たれた黒翼を踏み台にして思いっきり跳躍した そして中空に投げ出されたマスターを・・キャッチする! 「うおお、王子様みたいでカッコイイぞ蒼星石!」 マスターが拍手をする それ褒めてるのかけなしてるかわかんないし・・ つうかこんな時までこの人は・・ いや、こんな時だからこそ・・か。 マスターの笑顔はボクに勇気をくれる 今のボクは絶好調だ 今ならあの水銀燈にも・・勝てる!! 「決着をつけよう!水銀燈!」 「もうハンデは捨てたわぁっ!闇に埋もれて眠りなさぁい!!!おばかさぁん!!」 またも容赦ない翼がボクを襲うも、きれいなタイミングでよけて見せる 無駄だよ、無駄。今のボクにあたるはずが無い! そして・・今ここで!君はボクの射程圏内だっ! とっさに水銀燈が剣を持ち出す 「そんな付け焼刃の剣術でっ!」 ボクは反撃する隙をも与えないほどの連撃を加える この猛攻に流石の水銀燈もたじろいだ 水銀燈の顔にはあきらかに焦りが浮かんでいる 「この娘・・こんなに強かったっけ?」という顔をしている 知らないのかな・・ 想う人のためなら女の子はいつだって強くなれるんだよっ! 心の中でそう思い、ガラじゃないなと微笑する。 その他愛ない笑みさえ! 今の水銀燈には! 不適に笑う策士に見えるのだろう! 動揺したせいかどんどん剣術に粗が出始める そして柄の部分を狙い・・ 「くらえェッ!」 剣をはじき落とした!振動が手に伝わり不快な顔をする水銀燈 そして咄嗟に彼女に飛び掛り、首筋にハサミを押し付けた 「はぁっ・・はぁっ・・ボクの、勝ちだ。」 正直運が良かったとしか言いようが無い マスターがそこにいたからきっと・・強くなれた 「なんなのよ・・なんなのよなんなのよ!真紅も言っていたわ!絆がどうのこうのなんて! 下らない下らない下らない本当に下らなァイ!あなた達はアリスゲームを侮辱しているわッ! 誇り高きローゼンメイデンがそんな不完全なモノにうつつを抜かして良いと思ってるの!?本当にオバカさぁん!!」 「ボクとマスターの絆は不完全なんかじゃないよ。」 そう言った瞬間水銀燈が何か思いついたかの様に不気味な笑みを浮かべる 嫌な予感がして一歩後ろに下がる 「あぁら、どうかしらぁ?確かに普通なら言葉にするのも吐き気がするけど貴方達の絆はきっと強固でしょうねぇ、 でもねぇ!アタシというイレギュラーが居る限り!そうとも限らなくなるの!ねぇ男ォ!?」 「あっ!?はい!?なんでしょう!?」 戦いに見とれていたのかぼーっとしていたマスターがびくっとして答えた 「そこの剣を拾って、その子を刺しなさぁい」 「!?」 そんな馬鹿な!なんて事を思いつくんだ君は! 「あっ・・で・・でも・・」 「もしそうしたらあなたのドールになってあげるわぁ・・いくらでも貴方の好きなこと・・してあげる。」 マスターの顔がみるみる高潮し、興奮しているのがわかる そんな・・マ・・マスター・・? 「この剣で・・よろしいでしょうか・・・?」 マスターは人間には小さすぎるその剣を拾っていた その瞳は虚ろで・・いつものマスターの優しい瞳とは違った 「そうよぉ、その剣でグサッと・・胸を貫いておやりなさぁい!」 座ったままの格好で水銀燈は叫んだ 「そ・・そんな・・マス・・ター?」 目の前には剣を構えるマスターが立っていた 嘘だっ・・こんなのって! いや・・やだよっ・・惨すぎるよ・・っ! 「あははははははははっ!どう!?絆なんてこんなに脆いものなのよぉ! まぁローザミスティカはちゃんと私が奪ってあげるから安心なさぁい!あははははははははは!」 笑い声が耳に障る。 マスターは既にボクに陰がかかるところまで来てしまっていた 「ます・・た・・?」 水銀燈に言われた通り、ボクの胸に剣を突き刺そうとしゃがむマスター やだ・・やだやだやだ!やめてよ!元の優しいマスターに戻って? あのお日様みたいな優しい笑顔で陽射しの様に気持ちの良い言葉をかけて? 抱きしめて持ち上げてだっこして?その暖かい掌で頭を撫でて!? 強くそう思うけど、言葉に出ない 「蒼・・・・ゴメン、な。」 グサリ 「ピクニック・・一緒に・・行けな、く、て・・・」 カラン いつの間にかマスターは水銀燈の剣を捨て そして、ボクのハサミに手をかざし、自分で自分の胸に深く突き刺していた 目の前でいつもと何も変わらない子供のように笑うマスターの顔が ボクの目にいつまでも焼きついていた To be continued ... →→→
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真紅(しんく) imageプラグインエラー ご指定のURLはサポートしていません。png, jpg, gif などの画像URLを指定してください。 imageプラグインエラー ご指定のURLはサポートしていません。png, jpg, gif などの画像URLを指定してください。 第5ドール。 人工精霊はホーリエ。 武器はステッキ。 マスター(下僕)はジュン。 髪の毛を鞭のようにしならせ、攻撃する「巻き毛ウィップ」。 クンクンが好き。 錬金術関連の本を読む。 紅茶が好きで、淹れ方や味に厳しい。 トイレをテーブルと間違えお茶会をしようとした。 雪華綺晶からは「紅薔薇のお姉さま」と呼ばれている。 水銀燈(すいぎんとう) imageプラグインエラー ご指定のURLはサポートしていません。png, jpg, gif などの画像URLを指定してください。 imageプラグインエラー ご指定のURLはサポートしていません。png, jpg, gif などの画像URLを指定してください。 第1ドール。 人工精霊はメイメイ。 黒い羽根が生えている。 蒼星石のローザミスティカを取り込んでからは羽根が巨大化し、鞄で休むことが出来なくなった。 めぐのことをすごく心配している。 乳酸菌(ヤクルトなど)が好物。 何気にくんくんが好き。 翠星石(すいせいせき) imageプラグインエラー ご指定のURLはサポートしていません。png, jpg, gif などの画像URLを指定してください。 第3ドール。 蒼星石の双子の姉。 人工精霊はスィドリーム。 あまり素直ではない。 ツンデレ。 蒼星石(そうせいせき) imageプラグインエラー ご指定のURLはサポートしていません。png, jpg, gif などの画像URLを指定してください。 第4ドール。 翠星石の双子の妹。 人工精霊はレンピカ。 原作ではマスターの結菱一葉を助け、ローザミスティカを失ってしまった。 アニメでのマスターは柴崎元治。 雛苺(ひないちご) imageプラグインエラー ご指定のURLはサポートしていません。png, jpg, gif などの画像URLを指定してください。 巴と契約していた。 第6ドール。 人工精霊はベリーベル。 個人的には漫画の雛苺は異常~にかわいいのに、アニメ版の雛苺はなぜかうざいんですよね。 金糸雀(かなりあ) imageプラグインエラー ご指定のURLはサポートしていません。png, jpg, gif などの画像URLを指定してください。 かしら~。 第2ドール。 人工精霊はピチカート。 神奈川と間違えられる。 薔薇水晶(ばらすいしょう) imageプラグインエラー ご指定のURLはサポートしていません。png, jpg, gif などの画像URLを指定してください。 偽者第7ドール。 人口精霊もローザミスティカも持っていない。 雪華綺晶(きらきしょう) imageプラグインエラー ご指定のURLはサポートしていません。png, jpg, gif などの画像URLを指定してください。 本物の第7ドール。 アニメでは10秒くらいしか登場していない。 原作では雛苺の体を食べた。 くんくん imageプラグインエラー ご指定のURLはサポートしていません。png, jpg, gif などの画像URLを指定してください。 劇中で放送されているテレビ番組「くんくん探偵」の探偵。 ラプラスの魔 imageプラグインエラー ご指定のURLはサポートしていません。png, jpg, gif などの画像URLを指定してください。 謎のウサギ。 桜田ジュン(さくらだ・-) imageプラグインエラー ご指定のURLはサポートしていません。png, jpg, gif などの画像URLを指定してください。 幸運な人。 真紅の下僕であり、マスターでもある。 ひきこもり。 桜田のり(さくらだ・-) imageプラグインエラー ご指定のURLはサポートしていません。png, jpg, gif などの画像URLを指定してください。 ジュンの姉。 ジュンの引きこもりを直そうとして必死に頑張っている。 柏葉巴(かしわば・ともえ) imageプラグインエラー ご指定のURLはサポートしていません。png, jpg, gif などの画像URLを指定してください。 雛苺と契約していた。 一応ジュンの同級生。 柿崎めぐ(かきざき・めぐ) imageプラグインエラー ご指定のURLはサポートしていません。png, jpg, gif などの画像URLを指定してください。 水銀橙のマスター。 病院で入院している。 死にたいと願っている。
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翠「うぅ~ん、良い天気ですぅ。さ~て、今日も元気にお店を頑張るですか」 暖簾をかけて、店の入り口前を箒で掃く。舞台に立つという緊張もなんのその、堂々とした演技だった。 翠「お店の前はこんなもんで良いですぅ。後はお客さんが来るのを待つだけですぅ」 翠星石の役どころは居酒屋の看板娘だった。 箒を元の場所に戻したところに、蒼星石が現れる。 それだけで劇場のヴォルテージが上がったのを翠星石は感じ取った。 心当たりは有った。それは五条大橋で写真を撮った時の事だ。 中性的な顔立ちの蒼星石はただでさえ人目を惹く。それが刀を構え、真剣な表情で弁慶と対峙していたのだ。目立たない訳が無い。 その後、他の観光客(主に女性)からの「一緒に写真を撮ってもらえませんか?」攻勢から逃げ出してきたのだ。 翠(追っかけてきやがったですね・・・しつけー奴らです) さて、そんな渦中の蒼星石だが、全身から「自分は今物凄く緊張しています」というオーラを放っていた。 同じ方の手と足を同時に出して歩く様は、さながらブリキの玩具といったところか。 蒼「や、やあ・・・お、お翠(すい)さん・・・え、え~と、きょ、今日は良い天気ですね・・・」 相当重症の様だ。そう言えば、小学生の時の演劇会でも練習では問題無いのに本番でこうだったなと思う翠星石。 翠(ここは一つ、こっそりアドバイスをしてやるですか) そう思った翠星石は少しアドリブを加えた。 翠「あら蒼之介(あおのすけ)さん、おはようですぅ。おや?こんな所に糸くずが付いてるですよ」 そう言って蒼星石の耳元に顔を近づける翠星石。台本に無かった行動に驚くも動けない蒼星石。 翠(何やってるですか。いつもの授業みたいにやれば良いんです。無理に教科書通りにやる必要はねえですぅ) 蒼(あ・・・そうか。授業だと思えば良いのか) 言われてみれば確かにそうだ。自分は毎日何十人もの生徒の前で授業を行っているではないか。 もちろん授業と演劇では見ている人数もやっている事も全く異なるのだが、この一言で完全にふっきれた。 蒼(ありがとう、翠星石) 翠「ほら、糸くずが取れたですよ。こんなの付けてたら子供達に笑われるです」 蒼「あ、本当だ。ありがとうお翠さん」 先程とはうって変わって、すらすらと言葉が出てくる蒼星石。 ちなみに蒼星石の役は寺子屋を開いている浪人だった。 翠「それで、今日もいつもの奴で良いですか?」 蒼「うん、ざる蕎麦をお願い」 翠「寺子屋がある日はいつもうちのお蕎麦を食べていくから、大助かりですぅ」 蒼「あれを食べないと、なんだか始まった気がしなくてね」 やがて蕎麦が運ばれ、それを食べながら会話をする二人。 そんな中、店に数人の男達がやってきた。全員柄の悪そうな面構えである。 翠「あ、いらっしゃいませですぅ」 応対に出る翠星石。男達は翠星石を嘗め回すように見続ける。思わず身構える。 翠「ご、ご注文は何ですか?」 エキストラA改め男A「おう、こいつはなかなか別嬪さんじゃねえか」 男B「おい、姉ちゃん。こんなしけた店、とっとと畳んじまって俺らと遊ばねぇか?」 男C「そいつはいいや。よし、今日はもう店じまいだ。そこの兄ちゃんもとっとと帰んな」 そう言ってガハハと笑う男達。 翠「な、何勝手な事言ってやがるですか!冷やかしならとっとと出て行きやがれですぅ」 台本とは違い啖呵を切る翠星石。 男達は互いに顔を見合わせ、アイコンタクトで即興アドリブへと移行する。 男A「随分威勢の良い姉ちゃんだ。気に入ったぜ」 そう言って立ち上がり、翠星石の腕を掴んで顔を近づける。 翠「は、放しやがれですぅ!放さないと、後で怖いですよぉ」 男A「どう怖いんだ?」 翠「こうなるですぅ!」 そう言って相手の足を蹴る。芝居だと言うのは分かっていたが、ちょっと強めに蹴った。 が、当たり所が悪く、ちょうど脛に当たってしまう。 男A「い、痛うぅ!」 翠「え?あ・・・、わ、悪気はなかったですぅ。わざとじゃないですぅ」 男A「やってくれたじゃねえか・・・もう許さねえ!」 怖い顔を更に怖くして怒る。そろそろかな?と思い台本を進めていく。 蒼「もう、その辺にしたらどうだい?」 立ち上がりながら台詞を言う蒼星石。男達は蒼星石を睨みつけるが、彼女は物怖じしなかった。 蒼「貴方の脛を蹴ったのは彼女が悪い。けれど、それ以前に貴方達も十分に悪い。 早くこの店から出て行ってくれないか?」 男B「何だとぉ?兄ちゃん、どうやら痛い目を見ないと分からない様だなぁ」 蒼「それはこっちの台詞かな」 完全に一触即発状態だった。翠星石が慌てて間に入る。 翠「喧嘩をやるなら、せめて外でやりやがれです!」 男C「それなら表に出てきやがれ!」 そう言って出て行く3人。心配そうな顔で蒼星石を見つめる翠星石。 蒼「大丈夫、あれくらいなら」 と、愛刀を持って店の外へ出る。 しかし、いよいよ激突といった時に、意外な人物が現れる。 ?「その喧嘩、ちょっと待って下さい!」 一同は声がした方向、舞台の下手の方を見る。 そこには、岡っ引姿の愛くるしい犬の着ぐるみがいた。そう、この劇の主役くんくんである。場内に歓声が上がる。 くんくん「今すぐその喧嘩をやめるんだ!」 十手をかざし、ポーズを決めるくんくん。結構さまになっている。 男B「てめえは八丁堀の?!」 男達は驚いた。くんくんはそれに構わず続ける。 くんくん「こんな所で喧嘩をしてはいけない!まずは話し合おう。そうすればきっと解決口が・・・」 この時代にしてはあまりにも人道的過ぎる気もするが、対話による解決を訴える。 しかし、特に話をしてどうこうなる物でも無かったので男達には通じなかった。 男A「構わねえ!やっちまえ!」 男Aの号令で、一斉に刀を抜く。 蒼「一応、正当防衛になるのかな?」 そう言って、刀を抜く蒼星石。刀を返して構える。 くんくん「う~ん、不本意ですが仕方ありません。岡っ引として見過ごせません」 そう言って蒼星石の側につく。客席の子供達から「くんくん頑張れ~」と声援が飛ぶ。 蒼(・・・ここで下手したら、真紅先生や水銀燈先生に何言われるか分からないな) 男A「畜生・・・覚えてやがれ!」 そう言って逃げ出していく男達。 その後の殺陣シーンは蒼星石ならではであった。 普通なら素人が行うのでどうしてもゆっくりになってしまうのだが、事前に剣道をやっていると説明しておいたので、 かなりの速さで展開していく。そして、その本格的なアクションとそれをこなすのが美青年(だと観客は思っている)と くんくんと言う事もあり、客席は大いに盛り上がった。 翠「おととい来やがれ、こんチクショーですぅ」 特に何もしていないのだが、何故か大威張りな翠星石。 くんくん「ふう、なんとか大事には至らず何よりです」 くんくんも見事な十手さばきを見せていた。芝居とは言え、くんくんの身に何か有ればあの二人が黙っていない。 なるべくくんくんの所には行かないように立ち回っていたのだが、1人がくんくんに向かって行った。 男Aの大振りの刀を十手で受け止め、力を横に逃がして斬撃の軌道を逸らす。 刀を完全にかわした所で相手に向かってタックルをしかける。それを受けて盛大に吹っ飛ぶ男A。 通常でも相当の訓練をしないとできないような動きだが、それを着ぐるみを着た状態で行うのだ。 その練習量はかなりの物だろう。 そして、男が立ち上がろうとした所に蒼星石の切っ先が向けられ、先程の言葉というわけだ。(峰打ちで既に二人を倒していた) 蒼「北町奉行所は今月は非番なのでは?」 くんくん「それはちょっと仕事に関わる話なので、申し訳ありませんけどお話しするわけには・・・」 蒼「そうですよね。あ、気にしないで下さい。ちょっと興味を持っただけなので」 3人は店に戻って、改めて食事をとった。 蒼星石の疑問はもっともだった。 くんくんは北町奉行所の岡っ引で、北町奉行所は今月は非番なのだ。 翠星石が口を挟む。 翠「そう言えば、一昨日ぐらいに南町の料亭『有栖屋』に来ていたご家老様宛に 怪盗・糸雀(いとすずめ)から挑戦状が届いたとか言っていたですねぇ」 蒼「へぇ・・・」 くんくん「あらら・・・、もう結構有名になっちゃってるんですねぇ」 居酒屋という商売柄、こうした情報には精通していたりする。 そこまで知っているなら、と事の顛末を話すくんくん。 ここで舞台の照明は落とされ、場面の転換が行われる。 水(良いなぁ・・・くんくんとあんな間近に居るどころかお話できて) 人にはあまり見せない、水銀燈の羨ましそうな顔だった。 だが、もうすぐ自分の出番がやってくる。気持ちを切り替えると、他の舞妓役のエキストラと共に舞台へと移動した。 背景は先程の居酒屋前ではなく高級料亭をイメージした豪華な造りだった。 水銀燈はその舞台の下手の方にある奥座敷の方へと誘導されてきた。 上手の方には、頭巾を被った家老役の男と悪徳商人みたいな顔した男。 そして、家老の護衛役をする事になった薔薇水晶が居た。 水(薔薇水晶も大変ねぇ、あんなのの近くに居なきゃいけないんだから) やがて、曲が流れ始める。もちろん日本舞踊に使われるような曲だ。そして当然水銀燈に日本舞踊の経験はなかった。 水(ま、見様見真似でやってればいいわね) 他の舞妓達の動きを盗み見ながら不自然にならないように踊ってみせる。 だが、持って生まれた美貌と才能ゆえだろう。とても素人とは思えない踊りで見る者を魅了していった。 薔(銀ちゃん、綺麗・・・) 薔薇水晶は素直にそう思った。同性である薔薇水晶でもそう思ったのだから、客席の男性客は言わずもがなである。 曲が終わり、他の舞妓達が下がっていく。水銀燈は商人によってお酌をするよう指示される。 水(そんなの自分でやれば良いじゃない) と思ったが、それを顔に出さず営業スマイルで徳利を持つ水銀燈。 商人A「いや、私じゃないよ。まずはこのお方にお酌をして差し上げるんだ」 水「あら、これは申し訳ありませんわぁ。お武家様ぁ、ささどうぞ御一献」 向きを変え、家老の方にお酌をしようとする。だが、家老はこういった。 家老「あ、別にいいよ。お酌は彼女・・・じゃなかった、彼にやってもらうから」 と、どこかで聞いた事有るような声で言ってきた。 それなら仕方ないと、徳利を薔薇水晶に渡す水銀燈。 薔「・・・・・・」 一見そうは見えないが、薔薇水晶は内心焦っていた。台本と違うからだ。 家老「さ、お酌してくれる?・・・あ、そう言えばまだ頭巾被ったままだったね」 と、家老らしい威厳の全く無い軽い声で頭巾を脱ぎだす男。そして、その奥から現れた顔は・・・。 水「ぶっ!?」 薔「・・・・・!!」 真・翠・蒼・金・雪(ウソおっ!!?) ローゼン「おや?どうしたんだい?僕の顔に何か付いてる?」 そこに居たのはローゼン校長本人だった。驚くのも無理は無い・・・というかいつの間に来ていた?! 薔「・・・・・・どうぞ」 おずおずとお酌をする薔薇水晶。その顔は無表情ながら何か嬉しそうだ。 ローゼン「ん、ありがとう。・・・なんだ、やっぱ水か」 と、完全に芝居の事など忘れたかのように素の状態で芝居を続ける。 が、観客にしてみれば、いつもの悪役然とした家老よりもローゼンの方が斬新だったので少し期待が高まった。 それから、しばらく水銀燈がローゼンに絡もうとする(台本どおり)も、完全無視して薔薇水晶に絡むローゼン。 いい加減キレそうになったところで、襖が開き奉公人がやってくる。 奉公人「申し上げます。先程、店の入り口でご家老様宛の書状を預かってまいりました」 ローゼン「書状?そんなのどうでも良いよ、燃やしといて」 奉公人「は?はぁ・・・」 流石にこんな事を言ってくる人は居なかったのであろう、返事に窮する。 慌てて商人役の男が取り成そうとするが、その前に水銀燈が動いた。 水「あぁら、ご家老さまぁ。いい加減台本無視してると、叩っ斬りますわよぉ」 ローゼン「・・・・・・やっぱ読んでみようかな。うん、急に物凄く読みたくなってきたぞ」 あっさりと掌を返すローゼン。相変わらず良い性格している。 ローゼン「ええと・・・どれどれ、『拝啓 新緑が目にしみる季節になりましたが、皆々様如何お過ごしかしら~。 時候のご挨拶はこれくらいにして本題に入るのかしら~。幻の秘宝、楼鎖魅諏蹄華(ろうさみすていか) を頂きに行くから、その時はよろしくかしら~。それではごきげんようかしら~。 怪盗 糸雀より』」 商人「そ、それは糸雀からの挑戦状ではありませんか!」 ローゼン「糸雀って?」 商人「今、巷を騒がす盗賊でございます。なんでも狙った獲物は逃さないと言われているとか」 ローゼン「ふ~~ん・・・。でもさぁ、楼鎖魅諏蹄華なんて持っていないよ」 全員「・・・・・・」 ローゼン「ああ、思い出した!そう言えば楼鎖魅諏蹄華は姫様が持っていたな」 だったら、直接姫様の所にもって行けば良いのに・・・とぼやくローゼン。 薔(・・・台詞殆ど無かった) 場面は再び居酒屋前に戻る。 流石にローゼンが来ていたという動揺は薄らいだが、まだ後を引いていた。 翠「そ、そういう事があったですか」 蒼「それは一大事だね。僕にとってはもっと驚いた事があったけど」 くんくん「という訳でして、北町と南町の奉行所が共同で犯人を逮捕しようとしている訳です」 今の事はあまり人には話さないで下さいねと付け加え、御代を払って出て行く。 蒼「これはしばらく騒がしい事になりそうだね」 翠「全く、糸雀も良い加減にしてほしいですぅ。それよりも、蒼之介さん寺子屋もうすぐ始まるんじゃねえですか?」 蒼「え?!あ、本当だ!急いでいかなくちゃ」 御代を置いて、足早に出て行く。 翠星石は後片付けをしながらポツリと呟く。 翠「これは、江戸を揺るがす大事件になりそうですねぇ」 その言葉が終わると同時に幕が下りる。次の場面はこの幕が上がった後に始まる。 10分ほどの休憩の後、舞台の幕が上がる。 そこには城の屋敷を模したセットが置かれていた。 そして上手の方にある上座には、優雅に佇む真紅の姿があった。 真「全く・・・こうも堂々と楼鎖魅諏蹄華を盗むと宣言するなんてね。実に不愉快なのだわ」 そう言ってお茶を飲む。気品さえ溢れてくるその仕草に客席は息を呑む。 家来「楼鎖魅諏蹄華は代々将軍家に生まれし女子に受け継がれていくもの。我らが身命を賭して御守りいたします」 真「当然でしょ。何が何でも必ず守りなさい」 家来「ははぁー」 そう言って下がっていく家来たち。それを見届けると真紅は再びお茶を飲み、そして溜息を漏らす。 真「・・・聞き耳を立てるとは武士として恥ずかしくないのかしら」 ローゼン「流石は紅姫(あかひめ)様、気配は消したつもりだったんですけど」 真「それで何をしようとしていたかは、この際問わないのだわ。それで、何か用かしら?白崎瑯善(しろざきろうぜん)」 ローゼン「実は姫様にお願いしたい事が有りまして」 真「どうせ、いつもの碌でもないことでしょ?さあ、それ以外に用がなかったらさっさと帰って頂戴」 ローゼン「いえ、今日はそれで来たわけではありません。楼鎖魅諏蹄華についてです」 真「・・・・・・何を企んでいるの?」 ローゼン「企むだなんてひどいなぁ。今回の一件、僕が伝えなきゃどうなっていた事やら」 真「それで、一体何なのかしら?早くして頂戴」 焦れて来たのか急かす真紅。しかしローゼンは何食わぬ顔で言ってきた。 ローゼン「楼鎖魅諏蹄華を見せてもらえませんか?」 真「・・・な、何ですって?」 ローゼン「僕達も全力で守るつもりだけど、一度もその楼鎖魅諏蹄華を見た事無いんだよねぇ そんな見た事も無い物を守れと言われてもねぇ・・・」 確かに、ローゼンの言うとおりだった。自分達が守っているものが一体何なのかが分からないと、 万が一奪われた時に取り戻す事ができない上に、士気にも関わってくる。 しかし・・・。 真「楼鎖魅諏蹄華は門外不出の秘宝。そして、それを見る事が出来るのは将軍家に生まれし女子のみ。 まさか、それを知らないとは言わせないのだわ」 ローゼン「まあ、そうなんですけどねぇ・・・・・・」 ローゼンの方もしつこく食い下がってくる。あまりのしつこさについに真紅が折れた。 真「・・・そこまで言うなら、仕方が無いのだわ。けれど見せるのは楼鎖魅諏蹄華が入った箱のみよ」 ローゼン「それで構いませんよ。僕としては守るものがちゃんとした形あるものだという事が分かれば良いだけですから」 真紅は立ち上がり、セットの棚を開けてそこから小さな桐箱を取り出す。 大きさは大体掌サイズ。おそらく中身はもっと小さいのだろう。 しかし、大切なのは中身ではない。重要なのは『それがどこに置いてあるのか?』という事だった。 真「さ、気が済んだのならとっとと出てって頂戴」 ローゼン「それではこれにて御免」 不自然なくらいに恭しく礼をして退席するローゼン。 ローゼン「・・・これで、こちらの駒は全て揃ったな。後は仕上げを行うだけかな」 彼の事を良く知っている人間には、今の彼の顔を見たらこう思うだろう。 『あの馬鹿校長、またなんか企んでるよ・・・』と。 やがて日が暮れ、江戸の町に夜が訪れる。 しかしこの時は、違った。町のあちこちに町方同心や岡っ引たちが警戒に当たっていた。 これでは、警戒が一番厳重な江戸城の、しかもどこにあるのか分からない物を盗み出すのは不可能だと誰もが思った。 そんな舞台の一角にスポットライトが当てられる。 金「いっぱい見回りが居るのかしら~。でも、この怪盗糸雀には関係ないのかしら~」 金糸雀だった。その愛らしい姿とコミカルな言動で客席に笑いが起こる。 金「なんだか笑われてる気がするけど、きっと気のせいかしら~」 そういって『屋根の上』を歩き出す金糸雀。よく見ると、彼女の腰の辺りにワイヤーが括りつけられていた。 やがて、屋根と屋根の間が開いている部分に出た。ここをワイヤーを使って飛ぶのだ。 金「うぅ・・・ちょっと、高いのかしらぁ・・・。落ちたら怪我するのかしらぁ・・・」 後ずさる金糸雀。客席から「頑張れ~」と声援が掛かる。 金「うぅぅ・・・怖いけど、頑張らなきゃお話が進まないかしら~」 やがて意を決して走り出す金糸雀。そして・・・飛んだ。 金「きゃ~、高いのかしら!怖いのかしら!早く降ろしてかしら~!」 どう考えても見つかりそうなくらいの大声で叫ぶ金糸雀。観客からどっと笑いが起こる。 なんとか着地するが、まだ心臓の鼓動は高鳴ったままだった。 金「こ・・・これくらいでへこたれる、怪盗糸雀じゃないのかしら~・・・」 とぼとぼと上手の舞台袖の方へと歩いていく金糸雀だった。 その後、下手からくんくんが現れる。 くんくん「今日はお月様がきれいだなぁ。あ、いけないいけない、今は怪盗糸雀を探さなくては」 辺りを見回すくんくん。すると人影を見つける。 くんくん「やや?!怪しい人影!」 慌てて追いかけるくんくん。だが影を見失ってしまう。 くんくん「しまった、見失ってしまった。一体どこに行ってしまったんだ?」 辺りを見回しながら進むくんくん。その時舞台奥からやってきた人物とぶつかってしまう。 くんくん「あ、イタタ・・・。すいません、よく見てなかったから・・・」 蒼「あ、大丈夫ですか・・・って、くんくんさん」 くんくん「あ、貴方は蒼之介さんじゃないですか。どうしてこんな所に?」 蒼「寺子屋が終わってから、道場に行ってその帰りなんです。それにしても、今日は随分と見回りの同心の人たちが多いですね」 くんくん「ええ、何せ糸雀が江戸城の宝を盗むと宣言してきたんです。僕達も必死になって犯人逮捕に向けて捜索中です」 蒼「もし良かったら、お手伝いしましょうか?」 くんくん「それはいけない。この江戸の町住む人々を守るのが僕達の仕事です。それなのに手伝ってもらうなんて・・・」 そう言った矢先に、警笛の音が聞こえてきた。どうやら糸雀を発見したようだ。 くんくん「蒼之介さん、絶対について来てはいけませんよ。貴方も間違って・・・って、あ!」 蒼星石は既に走り出していた。そのまま上手の舞台袖に消えていく。 くんくんも慌てて追いかけていく。 金糸雀は下手から出てきた。今度はちゃんと舞台の上だった。 金「大変なのかしら~。でも逃げ切って見せるのかしら」 町方たち「御用だ!御用だ!」 突如客席から町方同心たちが現れる。流石にこれには金糸雀も観客も驚いた。 金「きゃ~」 慌てて逃げ出す金糸雀。その行き先は江戸城だった。 ローゼン「ついに始まったようだね。・・・それじゃ、あとの首尾は任せたよ」 薔「・・・ははっ」 江戸城の一角、部屋の上座に座るローゼンが薔薇水晶に指示をだす。 薔薇水晶は立ち上がって、退室していく。 ローゼン「さて怪盗さん、しっかり働いてくれよぉ・・・俺のために」 ふっふっふっ・・・と完全に悪役顔で笑うローゼン。 そんな笑い声をかき消すかのように、照明が落ちる。 江戸城内は騒然としていた。何せ曲者の侵入を許してしまったからだ。 舞台や客席のあちらこちらで「糸雀は見つかったか?」「いや、まだだ」「なんとしてでも探し出せ」などの怒号が飛び交う。 それからしばらくして、下手の方から再び蒼星石が現れる。 同心「む、何ゆえこのような所に居る?」 蒼「え?あ、いや、その、怪盗糸雀の捕縛に手伝える事があればと思い・・・」 同心「それには及ばず。さあ、早々に立ち去られよ」 蒼「でも、1人でも多い方が・・・」 同心「いい加減にせぬと曲者として引っ立てるぞ」 怒る町方同心。無理も無い、今江戸城は曲者騒ぎで手一杯。それなのにまた見知らぬ者が入ってきては困る。 しかし、なおも食い下がろうとする蒼星石に対し、いい加減堪忍袋の緒が切れそうになったとき、 「こんな所で何をやっているの」と蒼星石の腕を引っ張って、何者かが連れ去ってしまった。 蒼「え?ちょ、ちょっと!」 蒼星石は抗議するが、強い力でぐいぐい引っ張られて舞台の中央へと移動する。 ?「ここまで来れば一安心」 蒼「え~と・・・どなたでしょうか?」 ?「・・・・・・そうだな、遊び人の雪さんとでも呼んでくれ」 蒼「はぁ・・・」 そう、蒼星石の腕を引っ張ったのは雪華綺晶であった。 その格好は先程の伊達政宗姿ではなく、白色の着流し姿であった。 蒼「でも、どうして」 雪「あんな所にずっと居たら、捕らえられてしまう。もし、糸雀が捕まらなかったら、共犯として投獄されていたかも」 恐ろしい事をさらっという雪華綺晶。 蒼「え?!でも、どうして・・・」 雪「大切なのは糸雀ではなく『糸雀を捕まえた』という事実。そして、それは真実じゃなくても構わない」 要するに、糸雀を取り逃がしたとしても、蒼星石を共犯として捕まえる事で面目は保たれるのだ。 雪「だから、私があそこから連れ出さなかったら、貴方は今頃牢の中」 蒼「・・・・・・」 その時、ようやくくんくんが追いついてきた。 くんくん「はぁ、はぁ・・・蒼之介さん。どこに行っていたんですか?探しましたよぉ」 蒼「あ、くんくんさん。すいません、勝手に先走っちゃって」 くんくん「ところで、こちらの方はどなたですか?」 蒼「ああ、こちらは雪さんです。お城の前で捕まりそうになる前に助けても貰いました」 くんくん「そうなんですか。・・・あれ?以前どこかでお会いした事があるような・・・」 雪「・・・多分気のせいだと思う」 くんくん「そうですよね」 と、談笑に耽っていると辺りが騒がしくなってきた。 くんくん「ん?何だか急に騒がしくなってきましたねぇ」 辺りを見渡すくんくん。その時、客席入り口から1人の同心が入ってきて大声で叫んだ。 同心「糸雀、召し取ったりぃ!!」 くんくん・蒼「ええ?!」 そして幕は再び下がった。ここから約15分間の休憩である。 翠「それで、結局どうなったですか?」 くんくん「詳しい事はまだ何も・・・。ただ、江戸城は昨夜の騒ぎで今もその後片付けをしているとか」 翠「へぇー、それは大変だったですねぇ」 幕が上がると、場面は居酒屋前に変わっていた。 翠星石は昨夜の騒動についてくんくんに根掘り葉掘り聞いていた。 くんくん「それにしても、蒼之介さんにはびっくりしましたよ。笛が鳴ったと思ったらいきなり飛び出していくし」 翠「蒼之介さんは昔から正義感が強いですぅ。子供の頃にも・・・」 そうやって思い出話を始めようとしたところで、蒼星石が店に入ってくる。 蒼「あれ?くんくんさん来ていたんですか?」 くんくん「はい。ここのお蕎麦が美味しかったもので」 翠「蒼之介さんいらっしゃいですぅ・・・その人、誰ですか?」 翠星石の目は蒼星石の後ろに居る人物へと向けられた。雪華綺晶である。 くんくん「おや、貴方は昨日の」 蒼「ああ、この人は雪さんだよ。ここに来る途中、偶然会ったんだよ」 雪「始めまして。私は遊び人の雪さんです」 翠「・・・普通は自分で遊び人って言わねえです」 二人はくんくんの居る卓の席へ座り、それぞれ注文をする。 蒼「いつもの奴で」 雪「・・・ここに書いてある物、全部」 ついいつものノリで注文してしまう雪華綺晶。 翠「1つにしやがれですぅ」 雪「・・・・・・・・・・・・なら同じもの」 注文を聞いた翠星石は店の奥へと入っていく。 頼んだざる蕎麦を食べながら、3人は話し合っていた。 当然話題は糸雀の事である。 蒼「この後、糸雀はどうなるんですか?」 くんくん「今は取調べをしている最中ですね。それが終わればお白州で裁かれる事になります」 蒼「その後は?」 くんくん「さあ・・・それはお奉行様が決める事なので、僕にはちょっと・・・」 と困ったような顔で言うくんくん(実際表情が変わる訳ではないが) 雪「・・・良くて市中引き回しの上に島流し、悪ければ銃殺刑・・・じゃなかった、磔獄門」 食事時にする話じゃなかったな、と詫びる雪華綺晶。 しかし、雪華綺晶の言う事はもっともだった。 それだけ、糸雀のした罪は重い。 だが、くんくんはそれに疑問を挟んだ。 くんくん「・・・実は、この事件、まだ終わっていない気がするんです」 雪「と、言うと?」 くんくん「今朝から色々と聞き込みをしていたんですけど、町民の皆さんの殆どは糸雀に対して同情的なんです」 くんくんが言うには、町民達にとって糸雀は義賊であり、盗まれた方は所謂悪徳商人たちばかり。 それがお城に忍び込むなんて・・・と、不思議がる人が殆どだったという事だ。 雪「義賊・・・か」 くんくん「はい。それに、今まで盗んできたものは小判などの金銭が殆どなんです」 くんくんが一番疑問に思っていた点はそれだった。普通、盗みを行なう際真っ先に狙う物は金銭である。 その次に高値で売れそうな物が狙われる。 しかし、盗みの鉄則として『超高級品は盗まない』というのが有った。 なぜなら、こう言った品物は市場には殆ど出回らず、売ろうとすればすぐに足が付く。 その為、狙われるのは『高級品だが、そこそこ出回っている物』という事になる。 にも拘らず、今回は将軍家が代々受け継ぐ秘宝・楼鎖魅諏蹄華を狙ったのだ。 その様な物は、当然市場に出回ってなどいないし、売れるとは思えなかった。 蒼「そう言われてみれば、確かにちょっと不自然な気もしますね」 くんくん「そうなんですよ。どうにもそれが気になっちゃって」 本人と話が出来れば一番良いんですが・・・、と呟く。 基本的にそれらの取調べは奉行所が行う。当然岡っ引のくんくんにはその権限は無い。 その後、蒼星石たちと別れて再び聞き込みを開始するくんくん。 しかし、誰に聞いても返ってくる答えは蒼星石たちに話した内容と変わらなかった。 くんくん「はぁ・・・このまま終わってしまうのかなぁ」 茶屋でお茶を飲んで空を見上げる。そこへ1人(?)の与力がやってきた。 ?「やあくんくん、元気にしているかね?」 くんくん「あ、これはネコさん。良かったら、席どうぞ」 席を勧めるくんくん。ネコはくんくんの隣に座る。 くんくん「今日はどうなされたんですか?確か非番のはずでは・・・」 ネコ「実はねくんくん、先程奉行の綺羅様から言付かってきてね。君に糸雀の取調べを行って欲しいそうだ」 くんくん「えぇっ?!どうして僕なんですか?」 ネコ「私も詳しい話は知らないんだけど、なんでも熱心に糸雀に関して調べてるのを見かけたらしくてね。 それでぜひやって欲しいと仰せになったのだよ」 くんくん「はぁ・・・」 くんくんは信じられないと言った面持ちだった。自分はただの岡っ引。 それがお奉行様から直々に下知が下るなんて・・・。 しかし、これで糸雀の取調べを行える。その事実に、くんくんは燃えた。 ネコ「君なら大丈夫だと思うけど、気をつけてくれたまえよ。相手は楼鎖魅諏蹄華を盗み出した糸雀だからね」 くんくん「え?!捕まえたのに持っていなかったのですか?」 ネコ「騒動が終わった後に念のために確認したら、無くなっていたそうだよ。それに関して問いただしても 自分は知らないの一点張り・・・ほとほと手を焼いていてね」 初耳だった。まさかあの厳重な警備の中で盗まれていたとは・・・。 牢屋敷に入ったくんくん。既に伝わっていたのか、あっさりと取調べが始まる。 糸雀と会った時、くんくんは2つ驚く事があった。 一つは怪盗・糸雀が子供のように背の低い女であったという事。 もう一つは泣き腫らしたのか、まるで兎のように目が真っ赤だったという事だった。 くんくんは係りの役人を下がらせた。今から話す事は、聞かれたら困るような事だったからだ。 くんくん「始めまして糸雀さん。僕はくんくんといいます」 金「うぅ・・・また取り調べなのかしら~」 心底嫌そうな声を上げる金糸雀。しかし、くんくんは気にせず取調べを始める。 くんくん「それでは、さっそくお尋ねします。なぜ、貴女は江戸城に入ったのですか?」 金「もう何度も話したかしら~。逃げる時に一番手薄な所を選んでいったら、何故かお城についたのかしら~」 くんくん「一番手薄な所を?でも、普通はそこが一番厳重なところなのでは?」 金「ウソじゃないのかしら~。今まで沢山経験があるから見れば分かるかしら~」 なるほど、彼女ほどの者が言うからにはきっと本当なのだろう。 くんくんは質問を変えてみる。 くんくん「では、最初からお城に行くつもりは無かった・・・という事ですね?」 金「そうよ」 くんくん「なるほど・・・どうやら本当のようですね」 金「え・・・?信じてくれるの・・・」 金糸雀は面食らった。今までの役人は誰一人として信じてくれなかったからだ。 くんくん「ええ。確かに貴女は盗みという罪を重ねてきました。ですが、貴女はとてもウソを吐いている様には見えません。 僕は信じたいんです、貴女の事を」 くんくんのその言葉を聞き、金糸雀は顔を伏せて泣き出す。 嬉しかったのだ。自分を信じてくれる人がまだ居るという事が。 くんくんは金糸雀が泣き止むのを待ってから再び質問を投げかける。 くんくん「挑戦状というのは、いつも相手に送るのですか?」 金「そうかしら~。怪盗たるものコソ泥のようなマネは出来ないのかしら」 くんくん「どちらにせよ、泥棒はいけない事ですよ」 金「あぅ~・・・」 くんくん「盗みを働く相手はどういう基準で選ぶんですか?」 金「ん~、基本的に不等に価格を上げる商人や問屋かしら。でも、盗んだお金の大半は貧しい人たちにばら撒いてるかしら」 くんくん「だから町の皆さんから人気が有ったんですね」 金「悪いのは値上げをする商人達かしら。理由無く吊り上げるのは許せないかしら~」 くんくん「でも、泥棒はダメですよ」 くんくん「それでは、美術品とかは盗まないんですね?」 金「表の顔の私じゃ、とても持てる物じゃないから意味無いのかしら」 くんくん「なるほど・・・お金だけしか盗まないと」 くんくんは慎重に一つ一つ質問を重ねていく。 金糸雀の方も気を良くしたのか、答えていく。 くんくんはそれらの証言と過去の糸雀関連の事件と照らし合わせながら、真偽の判断を下していく。 そして彼女の証言は全て真実を告げていた。 いよいよくんくんは本題へと入っていく。 くんくん「楼鎖魅諏蹄華という物を知っていますか?」 金「楼鎖魅諏蹄華?・・・う~ん、聞いたこと無いのかしら」 くんくん(やはり・・・) この瞬間、くんくんの疑問は確信へと変わった。 そう、家老・白崎瑯善に送られてきた挑戦状は真っ赤な偽物だったのだ。 くんくん「では、昨夜のは一体どこに挑戦状を送ったんですか?」 金「材木問屋の不死屋かしら~」 くんくんは牢屋敷を出て、自分の家へと帰ることにした。 糸雀の証言から色々な事が分かった。 少なくとも言える事は、今回の楼鎖魅諏蹄華窃盗事件に彼女は関わっていないという事。 問題は一体誰が偽物の挑戦状を送ったのか?何故江戸城へと繋がる道の警備が薄かったのか? そして何より、楼鎖魅諏蹄華は一体どこへ消えたのか? くんくん「・・・明日は不死屋へ行ってみよう。もしかしたら何か分かるかもしれない」 そう呟くくんくん。だが、黒幕はくんくんよりも早く動いた。 くんくん「おや?雪さんじゃないですか。どうしたんですか?こんなところで」 雪「・・・先程、不死屋の主が殺された。死因は刀傷からの出血多量。・・・・・・武士の仕業だ」 くんくん「え?!」 驚きの声をあげたところで幕が下りてくる。物語はいよいよ終盤へと入っていく事になる。 翌日、くんくんはひたすら走り回った。 不死屋の主人、元治のここ最近の行動や不死屋に関する噂など、店の番頭や奉公人、 はたまた店の周辺に住む人々に聞き込みを行っていた。 また、与力のネコに頼んで一昨日の晩、誰が警護の配置を行ったのかを極秘裏に調べてもらっていた。 おそらく犯人はただのこそ泥なんかじゃない。一見厳重に見える警備の中に巧妙に穴を作り、 糸雀を江戸城におびき寄せたのだ。そんな事が出来る人物は限られてくる。 当然、そんな人物ならこちらの動きを逐一知る事など造作も無いはずだ。 それゆえ、事は慎重に運ぶ必要があった。 そして場所は再び居酒屋「酔夢(すいどりいむ)」へと移る。 くんくん「もしかしたら、明日の朝日を拝む事は出来ないかもしれません」 翠・蒼・雪「え・・・?!」 くんくんが唐突に話した言葉に驚く三人。 蒼「一体、どういう事なんですか?」 翠「なにいきなり縁起でもねーこと言いやがるですか?!」 雪「・・・・・・」 くんくん「実は・・・今回の事件の真犯人が分かったんです」 翠・蒼・雪「え?!」 先程と同様に驚く三人。 蒼「それで、一体犯人は誰なんですか?」 くんくん「言えません」 翠「ここまで言っときながら、もったいぶる奴があるですか?!さあ、さっさと言いやがれです」 雪「私も知りたい。教えてくれないか?」 くんくん「・・・言えません。言ってしまったら、貴方達を危険に晒してしまう」 真犯人はそれほどの力を持っているのか・・・そう感じた三人だった。 だが・・・。 雪「真犯人は白崎瑯善だな・・・」 雪華綺晶の言った言葉に驚くくんくん。そして、その反応はそれが真実であるという事を告げていた。 くんくん「どうして・・・」 雪「今回の事件、最初から奴が怪しいと思っていた。実際に何を考えているか分からない顔だし、 私の可愛い妹を誑かそうとしているし、この間なんか・・・・・・」 翠「そういう事は全てが終わってから言いやがれです」 暴走して危うく射殺しに行こうとする雪華綺晶を押し止める翠星石。 蒼「それで、どうして犯人が白崎瑯善だと」 くんくん「分かりました。ここまで知られたのなら全部お話します」 くんくんは自分が知りえた事を全て話した。 まず、糸雀からの本物の挑戦状は1週間前に問屋町にある材木問屋・不死屋に送られていたということ。 その後、店の主・元治は1人の侍にその書状を渡したそうだ。 ちなみにネコに調べてもらった結果、本物と偽物の書状に書かれている文字は非常に酷似しており、 おそらくその間に筆跡を真似た挑戦状が作成されたのだろう。 そして、その書状が有栖屋に来ていた白崎瑯善に送られ、今回の事件へと発展していく。 次に、城の警備に関してだが、これらは全て白崎瑯善が執り行っていたという。 自分の報告が有ったからこそ事前に対処する事が出来るんだという事で、強引に指揮権を得たらしい。 となれば、当然自由に警備を配置できるので、江戸城へと通じる道が自然に手薄になるように人員を割いたのだ。 そして、楼鎖魅諏蹄華の在り処を所有者である紅姫やその侍女たち以外で知っている数少ない人間 だという事も、ネコの調べで分かったのだ。 雪「・・・・・・状況証拠だけだな」 くんくん「・・・・・・」 雪華綺晶の言葉にくんくんは押し黙ってしまう。 そう、今言った証拠はどれも状況証拠なだけで、物的証拠は無かったのだ。 不死屋に送られた挑戦状が有ればまだ状況は変わるのだが、すでに本物は残っていないだろう。 それにその証言を行う事が出来る唯一の人間は既にこの世にはいない。 確かに納得のいく話なのだが、これでは推測の域をでない。 蒼「まさか、それを確認するために・・・」 くんくん「・・・今夜、再び有栖屋に瑯善がやってきます。お城の中へは入れませんが、 料亭なら僕だって入っていけます。だから、そこで瑯善から情報を得ようと・・・」 翠「そんなの危ねえです!下手したら死んじまうです」 翠星石の言うとおりだった。ただ乗り込んで行ったのでは返り討ちに遭うのが関の山だ。 しかし、それでもくんくんは行くと言った。彼の正義感がそうさせたのだ。 そして、そんな彼の姿に心打たれた者がここいる。 蒼「くんくんさん、僕も行きます」 くんくん・翠「えぇっ!?」 翠「い、いい、いきなり何言ってやがるですか?!そんな所へ行ったら蒼之介さんもただではすまねえです!」 蒼「それでも、僕はこの人を見過ごせないんだ!」 蒼星石が叫ぶ。 観客達は完全に魅入っていた。最初はどうせ子供向けだと思っていた親子連れの親達も今や熱心に見ている。 くんくんなんて最初から興味なく、ただカッコいい人(蒼星石)が芝居小屋に入っていったのを確認したから 入った女性客もまた、くんくんの魅力に取り付かれていた。そしてそれはスタッフ達にも。 自分だけが行くと言うくんくんと付いて行くと言う蒼星石。両者は互いに譲らなかった。 蒼星石は雪華綺晶に同意を求めた。しかし、雪華綺晶は無常にもこう言った。 「私にそこまでする義理は無い」と。 蒼「そんな!このままでは殺されてしまうのかも知れないんですよ!」 雪「かと言って、たった3人で何が出来る?明確な証拠もなく乗り込んだところで犬死するだけだ」 蒼「う・・・・・・」 雪華綺晶の言う事は正しいと蒼星石だって分かっていた。 でも、蒼星石の中の正義感がそんな理性を撥ね退けた。 蒼「分かったよ。なら、僕1人でも行く」 そういって店を飛び出していく蒼星石。慌てて追いかけるくんくん。 翠星石は雪華綺晶に詰め寄る。 翠「お願いですぅ!蒼之介さんを助けてやって欲しいですぅ!」 雪「・・・・・・」 雪華綺晶は立ち上がり、御代を置いて出て行こうとする。 翠「・・・、見損なったですぅ!!こんな御代なんていらないですぅ!!」 雪「・・・・・・私なりのやり方で二人を助ける」 手で顔を覆う翠星石に背を向けながら、ポツリと呟く雪華綺晶。 翠「え・・・?」 店の入り口の方を見ると、雪華綺晶の姿は既に見えなかった。 そして舞台の照明が落ちる。 舞台に再び照明が当てられる。そこは料亭「有栖屋」だった。 部屋にはローゼンと薔薇水晶、そして水銀燈がいた。 ローゼン「いやあ、今日もお酒が美味しいなぁ・・・水だけどね」 水「はぁい、もう一献どうぞぉ」 ローゼン「お、悪いねぇ」 そう言って酌をしてもらうローゼン。薔薇水晶はちょっとムッとしていた。 水銀燈がローゼンの持っていた小箱に気付く。 水「あらぁ?これはなぁに?」 ローゼン「ああ、これ?僕の家の家宝だよ」 箱に堂々と葵の紋が描かれているが、無視された。 水「ええ?!見てみたいわぁ、ねえ見せてぇ」 そう言って、ローゼンにしなだれかかる。薔薇水晶の眉間が僅かながら険しくなる。 ローゼン「えぇ、どうしようっかなぁ・・・?」 悩む振りをするローゼン。 すると、周りが俄かに騒がしくなる。 ローゼン「おや?なんだか騒々しいなぁ・・・せっかくのいい気分が台無しだよ」 水「ほぉんと、無粋よねぇ」 やがて、座敷の襖が開かれ、くんくんと蒼星石が入ってくる。 薔薇水晶は咄嗟に刀に手をかける。 水「まぁ!くんくんさんじゃなぁい」 ローゼン「知り合いかい?」 水「ええ、良く知っていますわぁ・・・」 ローゼン「それで、そのくんくんさんが何の用だい?事の次第によっては、ただじゃおかないよ」 笑顔の中にも凄みをだすローゼン。 二人は一瞬たじろぐも、すぐに気を取り直す。 くんくん「白崎様、楼鎖魅諏蹄華窃盗事件についてお話をお聞きしたい」 ローゼン「はぁ?おいおい、楼鎖魅諏蹄華を盗んだのは糸雀だろう?僕は何も知らないよ」 くんくん「糸雀は楼鎖魅諏蹄華を盗むつもりは無かったと申しております」 ローゼン「それで?君は泥棒の言う事を信じるのかい?嘘吐きは泥棒の始まりだって言うじゃないか」 平然と言うローゼン。確かに彼の言う通りなのだ。 物的証拠の無い今、泥棒である糸雀の証言を誰が信じるというのか。 ローゼン「やれやれ・・・君達はどうやら僕の事を犯人だと思ってるみたいだけど、それは見当違いだよ。 むしろ、彼女が盗みに来るという事を知らせた、いわば功労者だよ?」 くんくん「ですが、これまで金銭しか盗まなかった糸雀が、なぜ楼鎖魅諏蹄華を盗もうとしたのか」 ローゼン「高く売れると思ったからじゃないの?まあ、こそ泥の考えそうな事だね」 蒼「そんな・・・確かに罪を重ねたのかもしれないけど、そこまで言う必要ないじゃないですか!」 ローゼン「なんで?犯罪者をそこまで庇い立てする義理は無いだろう?」 もっとも、仲間となれば話は別だけど・・・、と言うローゼンの言葉に薔薇水晶は刀を抜いた。 くんくん「な・・・白崎様、彼は関係ありません!罰するというのであれば僕だけを!」 蒼「くんくんさん!!」 ローゼン「う~ん美しい友情だねぇ、嫌いじゃないよ。でも、悪人を許すわけにはいかないなぁ」 もはや、絶体絶命であった。二人は互いを守ろうと身構える。 すると、突然襖の奥から声が聞こえた。 ?「そうね。悪人を許すわけにはいかないのだわ」 その言葉に、全員の動きが止まった。そして突如として襖が開く。 ローゼン「ウソ!姫様?!」 くんくん・蒼「えっ?!」 そう、襖の向こう側に居たのは真紅だった。 真「何を驚いているのかしら?」 ローゼン「どうして、こんな所に・・・」 真「そうね。ここは美味しいお茶を出すようなお店ではないから、二度と来ないでしょうね」 ローゼン「いや・・・そうじゃなくて・・・」 真「古い友人から、ここに来れば良い物が見られると聞いてね。お忍びで来たのだわ」 そう言って、真紅はローゼンの手元にある箱とくんくんを見つめる。 真「ほんと、良い物を見させてもらったのだわ。白崎瑯善、そこにある箱は何かしら?」 ローゼン「え?え~と・・・これはですねぇ、我が家の家宝でして・・・」 真「いつから貴方の家の家紋は三つ葵になったのかしら?」 ローゼンはあは、あはは・・・と一頻り笑った後、慌てて箱を掴もうとした。 しかし、それよりも先に水銀燈が奪い、真紅の側に行く。 ローゼン「え・・・?なんで君がそっち行くの?」 その場に居る全員の気持ちを代弁する。 水「ごめんなさぁい。私、本当は舞妓じゃないのぉ」 そう言って、着物を一気に脱ぎ捨てた。客席がどよめく(主に男性客)。 そして、その下からは露出度が少し高めの衣装を着た水銀燈が現れる。 水「舞妓のお銀は仮の姿。本業は幕府お抱えのくのいちなの」 すっかり髪型まで変わった水銀燈が答える。 ローゼン「あっそう・・・最初から目を付けられてたんだぁ」 水「そういう事。舞妓よりもこっちの方がお給料良いんですもの」 真紅は手渡された箱の中身に目を通す。間違いない、楼鎖魅諏蹄華だ。 形勢は一気に逆転した。 くんくん「さあ、白崎様・・・いえ、白崎瑯善!おとなしく縛についてもらいましょう!」 ローゼン「はぁ・・・どっちにせよ逃げなきゃダメだよなぁ。けど、足止めぐらいはしておこうか。皆~、出てこぉ~い!」 ローゼンの言葉に舞台や客席のあちこちから斬られ役の武士達が現れる。 ローゼン「あ、そうそう、お約束だけどその人たち偽物だから。それじゃあ、皆さんよろしくぅ!」 そう言って薔薇水晶を引き連れて逃げていくローゼン。 くんくん「あ、待て!」 追いかけようとするも、立ちふさがれてしまう。 真「仕方ないわね・・・。皆、懲らしめてやりなさい。あ、くんくんは私の側を離れないで頂戴」 いよいよ壮大な殺陣が始まる。 蒼「はぁぁっ!!」 武士「ぐはぁっ!」 蒼星石が刀を振るたびに男達は倒れていく。しかし、刀を返しているため全て峰打ちである。 蒼「きりが無いな」 そう呟くも、嬉しそうに敵陣の中へと突っ込んでいく。 武士「でやぁぁっ!!」 真「・・・!」 くんくん「危ない!」 真紅が斬られる直前に十手で受け止めるくんくん。 真(・・・・・・ああ、くんくんが私を守ってくれた・・・) 恍惚とした表情でそれを見つめる真紅。しかし、そこへ斬りかかろうとする武士を見つけた。 真「くんくん!危ないっ!!」 水「え?ちょっとっ、真・・・きゃーー!!」 真紅は水銀燈の服の襟を掴んで、そちらの方へ投げ飛ばす。 当然水銀燈はその武士とぶつかり倒れこむ。 水「イタタ・・・。真紅ぅ~~!」 真「あら?無事のようね」 怒りの表情で真紅を見つめる水銀燈に対して、いつもの表情の真紅。 だが、水銀燈はすぐさま顔を強張らせる。 水「くんくん!」 真「え?」 振り向いた真紅のこれまた服を掴んで投げる水銀燈。 水「危なぁい!!」 真「きゃああ!!」 真紅の体はくんくんに切りかかろうとした武士の『刃』に当たりながら激突する。 全員(斬られてる!斬られてる!) と心の中で突っ込む一同。 その後は二人の乱闘だった。真紅に斬りかかろうとした武士に対して 真「必殺、ジャンクバリア!!」 水「ウソでしょ!!?」 ズバッ!ドテッ!! 真「ああ、なんて可哀相なお銀なのかしら。いくらくのいちの定めとは言え・・・」 水「まだ、死んでないわよ!」 真「あら?貴女は斬られたのよ?早く死んだ振りしなさい」 水「・・・・・・(ピクピク!)」 武士「でぇい!」 相手の上段からの面を紙一重で避ける水銀燈。そしてその勢いを利用して投げ飛ばす。狙い先は真紅だ。 真「な、なんでこっちに飛んでくるのよ?!」 避けきれずにぶつかる二人。 真「あ、いたたた・・・ちょっと、水銀燈!」 水「あぁ~ら、たまたま投げ飛ばした先に貴女が居ただけよぉ。避けきれないなんてお馬鹿さぁん・・・」 真「くぅ~~!」 衣装も髪も乱しながら、暴れる二人。 いつしか、周りに立っている斬られ役はもう残っていなかった。 蒼「二人ともいい加減にしてください!」 蒼星石の声に我に返る二人。 真「あ・・・あら?いつの間にか、皆倒してしまったようね」 水「姫様ぁ・・・いつか決着付けましょう?」 真「そうね、望むところなのだわ」 くんくん「そ、それよりも早く瑯善を追いましょう!」 蒼・真・水「ええ!」 四人はローゼンたちが逃げていった方の舞台袖へと走っていった。 真っ暗な舞台にスポットライトが当てられ、その中をローゼンと薔薇水晶の二人が走る。 ローゼン「はぁ、はぁ・・・ここまで逃げれば何とか大丈夫かな?」 薔「この後、どうなさいますか?」 ローゼン「う~ん、とりあえずは早めに江戸を出た方が良さそうだね。済まないね、こんな事になっちゃって」 薔「いえ・・・貴方をお慕いしているので」 ローゼン「そうかい?それじゃあ、どこまでも逃げようか」 そう言って再び走り出そうとするローゼン。しかし、そこへ1人の人物が現れた。 雪「それ以上、どこへ逃げるつもりだ?」 ローゼン「ん?君は・・・まさか!」 雪華綺晶だった。しかし、いつもの着流し姿とは違い、羽織袴のちゃんとした出で立ちであった。 雪「白崎瑯善・・・おとなしく縄につけ。手荒な真似をするつもりは無い」 ローゼン「大人しくしろって言われて、そうする悪役は居ないさ」 その言葉に薔薇水晶が刀を抜いて、雪華綺晶へと迫る。 薔「お覚悟」 雪華綺晶は後ろへ飛びながら刀を抜いて相手の斬撃を受け止める。 雪「私は自首を勧めているだけだ。戦う気は無い」 だが、薔薇水晶の攻撃は止まなかった。 雪「仕方ない」 そう言って、攻勢に移る。流石に元軍人とでは体力の差が有った。 やがて刀を弾かれ、切っ先を向けられた薔薇水晶とローゼンは降参した。 その時、ちょうどくんくん達がやってきた。 蒼「え?雪さん・・・?」 蒼星石が疑問に思うのも無理は無かった。真紅が一歩前に出る。 真「流石は綺羅雪之丞ね。二人を捕まえるなんて」 雪「姫、わざわざ斯様な場所にお越し頂く様、お頼みして申し訳ありません」 真「気にしないで頂戴。なかなか楽しかったのだわ」 蒼「綺羅・・・?北町奉行の?!」 蒼星石は慌てて詫びを入れる。知らなかったとは言え、相手は町奉行なのだ。 しかし、雪華綺晶は何も無かったようにそれを許し、自分の正体を皆に黙っていて欲しいとだけ言った。 これで、事件は全て解決した。 翠「結局、糸雀はどうなったんですぅ?」 くんくん「実際に見たわけでは有りませんけど。話に聞くと、盗みの罪は重いが盗まれた側もあくどい商売で金を 巻き上げていたという事。そして、楼鎖魅諏蹄華窃盗事件ではむしろ被害者であるとして、相当なご温情を受けたそうですよ」 翠「へぇ~」 くんくん「ただ、二度と盗みを働かないようにときつく言われていたそうです」 蒼「それは良かったですね」 ええ、と答えるくんくん。事件が終わってしばらく経ち、北町奉行所で行われた糸雀の裁きの話を二人にしていた。 翠「蒼之介さん、もうそろそろ寺子屋が始まるんじゃねーですか?」 蒼「え、もうそんな時間?それじゃ、ご馳走様。くんくんさんも、お仕事頑張ってください」 そう言って、足早に店を出て行く蒼星石。それを見送ったくんくんも御代を払って店を出る。 くんくん「う~ん、今日もお江戸は日本晴れ。さあ、今日も皆の笑顔を守るために頑張るぞ!」 そして、拍子木の音と共に舞台の幕が下りてくる。 場内は割れんばかりの拍手の嵐であった。そして、それは幕が完全に下りた後もしばらく続いた。 それは即ち、真紅たち有栖学園の教師とくんくんによる、芝居の大成功を意味していた。
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暗い夜道に少女は一人立っていた。 確か自分は自宅で姉妹たちと共に夕飯を取っていたはず。なのにどうしてこんな所に居るのだろうか。 突然の異常事態に困惑しつつ、ふと先程の光景が頭をよぎる。 見知らぬ部屋に自分と大勢の見知らぬ人々。よく見れば大切な家族と友人も居るではないか。 知った顔を見つけ安心しそちらに駆け寄ろうとした時、妙な雰囲気を纏った男が現れ殺し合いを命じてきた。 この人は何を言ってるんだろう、と訝しげに思っていたら突如ボンッ!という音と共に前に居た若い男の首が吹き飛んだ。 呆然としながら体を離れゴロゴロと転がる“ソレ”と目が合った時、嫌な汗が流れる。 ロン毛の男が何かを言っていたが、全く頭には入らず、そうして気が付けばここに放り出されていた。 顔を青くしながら右手で首をなぞると、冷たい金属の感触がした。 途端に恐怖で足がガクガクと震えだす。 怖い、いやだ、死にたくない、殺し合いなんてしたくない、家族や友達に会いたい。 ふと自分の居る場所が道路のど真ん中だと思い出す。 こんな所に突っ立っていては目立つ。それこそ殺し合いを平然と行うような危険人物にでも見られたら… 慌てて周囲を見渡すと一軒のガソリンスタンドが見つかった。 震える足を無理やり引き摺ってそこに辿り着くと、急いで中に入る。 それを見ている者が居るとは気付かずに… ◇ 街頭のみが照らす薄暗い道路をゼロはバイクで走り抜ける。 目指す場所は地図中央にある市街地。 マントをなびかせバイクを操る姿は、まるでコミックブックから飛び出したヒーローのようだ。 支給品の一つであるこのバイク、ハードボイルダーという名で紫と緑の奇妙な配色がなされている。 園咲邸を出た時玄関前に置いてあるのを発見し、デイバッグに入っていた鍵を試しに挿したところエンジンが掛かった。 (中々便利なものだな) ゼロ=ルルーシュには乗馬はまだしもバイクの操縦をした事は一度も無い。 学生時代のバイクの運転はリヴァルの役目で、ルルーシュはサイドカーでのんびりしているのが常だった。 そのため折角の移動手段も宝の持ち腐れだと思われるかもしれないが、全く問題ない。 ゼロの超人的な身体能力ならば多少強引にだが、ハードボイルダーを乗りこなす事も十分可能なのだ。 (このまま一気に中心部まで…ん?) 丁度ガソリンスタンドの近くに差し掛かった時、微かな人影をゼロの視覚が捉えた。 影が見えたのは一瞬だが見間違えなどではない。確かに人影が待合室の奥へと移動しているのが見えた。 「寄ってみるか」 瞬時にそう判断すると進む方向を変える。 ガソリンスタンドに入ると給油機の所でハードボイルダーを止める。 相手がゲームに乗っていないならばそれで良し。乗っているのならば排除する。 どちらにせよ他の参加者との情報交換は必須だ。積極的に接触を図るべきだろう。 そう考えつつゼロは待合室への扉を開けた。 ………… 中に入るとゼロは室内をぐるりと見回す。 待合室はそこそこ広く内装も小奇麗なもので売店もある。 奥には左右に扉が一つずつあり、天井から垂れ下がってるプレートを見ると右は男女共同トイレで左が事務室らしい。 待合室は透明ガラスなので外から丸見えだ。幾ら何でも殺し合いの最中にそんな場所で呑気に居座る奴は居ないだろう。 (ふむ、ならばこっちだな) 左にある事務室のドアに手をかける。 トイレのような身動きの取り辛い狭い空間にわざわざ入りはしないだろう。 ゼロは事務室の扉を開けると、ゆっくりと足を踏み入れた。 事務室に入ると同時に、ガタッという小さな物音をゼロの鼓膜が捉えた。 音の発生源は左奥にあるデスクの下からのようだ。ゼロはそちらに目を向け声を掛ける。 「先に言っておくが私に殺し合いをする気は無い。無論、襲われれば対処するがな」 言いながら一歩近づくと息を呑むのが聞こえた。 「そちらがゲームに反対する者ならば話がしたい。出てきてはくれないか?」 エデンバイタルの魔王たる自分がこんな穏便な方法を取るとはな、と我ながらどこか可笑しく思った。 だがこの場で余計な荒事を起こすのは得策ではないと理解しているし、不必要ないざこざは避けるに限る。 「もしまだ信用できないのなら私のデイバッグをそちらに投げよう。それで戦意が無いことの証明にならないか?」 デイバッグをデスクの方へと放り投げるとそのまま黙って相手の出方を見る。 これでも信用できないなら仕方ないが当初の予定通り市街地に向かう。時間を無駄にはできない もし向こうがバッグを奪い襲ってきても余裕で撃退できる自身がゼロにはあった。 「…本当に、殺し合いには乗っていないんですか?」 向こうからの問いかけ、声からすると少女のようだ。 「ああそうだ。」 デスクの下から感じる息遣いなどから少女はまだ迷っているのだろうことが理解できた。 だが意を決したように息を吐く音が聞こえると、デスクの下からゆっくりと立ち上がる姿が見えた。 白のミニドレスに白薔薇の髪飾り、更に右目にも白薔薇の眼帯を着けた白い肌の美少女が姿を見せる。 どことなく儚げな雰囲気のある白い少女。そんな第一印象をゼロは抱いた。 少女は不安気な表情をしていたが、こちらの姿を見ると一変してキョトンとした顔をする。 「…コスプレ、ですか……?」 「違う、間違っているぞ」 思わず素で答えてしまった。 ◇ 「私はゼロ。さっきも言ったがこのくだらんゲームには乗っていない」 「えっと…雪華綺晶と言います。私も…殺し合いなんてする気はない、です」 椅子に腰掛け向き合いながら自己紹介をするゼロと少女―――雪華綺晶。 雪華綺晶としては黒い装甲服とボディスーツ、マントに仮面というゼロの格好が気になったのだが、当の本人が「気にするな」の一言で済ましたので、余り深く考えないことにした。 もっともゼロからすれば雪華綺晶の格好も少々変わっているように思えたが。 その後は互いの知り合いの話となった。 雪華綺晶によると、姉の水銀燈と翠星石、上の学年で幼馴染であるやる夫と その友人のやらない夫。 この4名は信頼できるし、殺し合いなどには絶対に乗らないとのこと。 逆に伊藤誠は面識は無いが女癖が酷いなど悪い噂が絶えない男子生徒だという。 最初の部屋に居たロン毛男と殺された青年については知らないらしい。 ゼロの方はスザクと扇が信用できる人物だと伝えたが、ロロに関しては今のところ不確定要素が多いので告げずに居た。 「ふむ…」 情報を交換し終えるとゼロは腕を組み暫し思案する。 (思った以上に面倒な事態となっているようだな) 自己紹介の際に聞いたが雪華綺晶は日本の学生だと言う。 それ自体は別段気にすることではない。問題は彼女が自分を全く知らない素振りであったことである。 ゼロはかつて反ブリタニア組織、黒の騎士団を率いて“弱者を虐げる暴力”への反逆を行っていた。 日本解放戦線によるホテルジャックでの人質救出を皮切りに、黒の騎士団は次々と法では裁けない悪を断罪してきた。 当然その出来事は連日のようにニュースで報道され、国を問わず黒の騎士団とゼロの名を知らない者は居ない程の知名度となった。 にも関わらずこの白い少女はゼロを、変わった服装の男の人くらいにしか認識していない。 余程の田舎出身の人間かとも思ったが、話によると都会の学生だと分かったのでそれも違うようだ。 (加えてブリタニアも知らない。いや、そもそも彼女の認識ではそんな国自体存在しない、か) 世界の三分の一を支配下に置く超大国、それが神聖ブリタニア帝国。 かつての極東事変により日本もその配下に治められ、エリア11というブリタニアの属領としての名を与えられるなど屈辱的な扱いを長年に渡り受けてきた。 現在では新皇帝ユーフェミアにより各エリアは解放されたが、それでも日本人との間には未だ溝が残っているだろう。 先程試しに自分はブリタニア出身だと言ってみたが、雪華綺晶からは外国の方でしょうかといった反応しかなかった。 ゼロという存在以上に知らないなど有り得ない事なのだが、彼女が嘘を言っているとは思えなかったし、嘘を付く理由も無い。 これは一体どういうことなのか。暫しの思考の末ゼロは一つの答えを導き出す。 (パラレルワールド…) 天獄門(ヘブンズドア)に触れたナナリーが見たという無限の可能性宇宙。 そして自身も魔王を受け継いだ時よりエデンバイタルを通して知った異なる世界。 そう考えれば雪華綺晶とゼロ、お互いの常識がまるで違うのもそれぞれが別の世界の住人だからだろう。 ここに来て最初に名簿を見た時のロロに対しての疑問も、彼が自分とは違う世界――或いは時間――から連れて来られたと考えれば納得がいく。 そして改めてこの悪趣味なゲームを開催したロン毛男に疑問を抱く。 50人以上の人間を突如まとめて拉致している。その中にはゼロのように特殊な力を持ったものが居るであろうにも関わらずだ。 さらに並行世界や時間にまで干渉する能力又は技術を手にしているであろうあのロン毛。 ギアスユーザーか、別世界の異能者か、はたまた神や悪魔の類か。 その正体は不明だが自然と警戒心が上がっていく。 「あの、どうかしましたか…?」 と、声のした方へ視線をやると雪華綺晶が心配そうにゼロを見ていた。 どうやらこちらが一言呟いて急に黙り込んだので不安になったらしい。 何でもない大丈夫だ、と言い雪華綺晶の方へ視線を移す。 答えが見つからないのならば今あの男の事をあれこれ考えても無駄と思い、思考を打ち切る。 「そういえば、支給品は何が渡されているかはもう確認したか?」 「え、あっ」 慌ててバッグの中に手を入れる雪華綺晶。 「ご、ごめんなさい。私、まだ…」 「別に謝る必要は無い。今落ち着いて確認すればいいことだ」 怯えて隠れていたことや話の内容からしても雪華綺晶が争いとは無縁の一般人であることはすでに分かっている。 突然巻き込まれた殺し合いという異常な状況で、冷静に行動しろと言うのは酷な話だろう。 そうして雪華綺晶がバッグから取り出した物は二つ。 忍者が使うような10本セットのクナイと裏にダイヤルとスピーカーが付いた蝶ネクタイ。 付属していた説明書を読むと後者は蝶ネクタイ型変声機という名で、声色を自在に模倣できるアイテムらしい。 中々面白い代物だが殺し合いの場では特に必要は無い。 「雪華綺晶。このクナイを私の支給された銃と交換しないか?」 「え…?」 「なに、そう深い意味は無い。ただクナイよりは銃の方が扱い易いと思ってな」 当然ながら雪華綺晶は銃など使ったことは一度も無い。 ただそれでもクナイよりは強力な武器だろうことは確かだ。 「でも、いいんですか?」 「構わん。私もあまり銃は得意ではないのでな」 ゼロの戦闘スタイルは己の肉体とマント、ギアスを武器にした肉弾戦である。 何度か拳銃を使ったこともあるが、無ければ無いで困るものでもない。 ならば自衛の手段として一般人である雪華綺晶に譲っても特に問題はないだろう。 それにゼロの腕力ならば投擲したクナイで銃弾並の威力を出すことができる。 雪華綺晶は暫し逡巡していたが、やがて差し出された銃と弾薬をありがとうございますと礼を言い受け取るとクナイを手渡す。 互いの情報を粗方整理し終えると、突然ゼロがスッと立ち上がる。 「さて。では雪華綺晶」 「…?何でしょうか?」 何だろうかと思い自分も立ち上がろうと腰を浮かばせようとした時 「下がっていろ」 事務室の扉が轟音と共に吹き飛ばされた。 ◇ 暗い夜道に男は一人立っていた。 とある大学で空手部の師範代を勤めている自分は、今日も部員に指導をする為部室に向かっていた。 それが何時の間にかおかしな所に居て、これまたおかしな男に殺し合いをしろと言われた。 男のふざけた言動に苛立ち一発殴ってやろうとした瞬間、知り合いの首が吹っ飛んだ。 その知人は教え子の恋人だった男だ。彼とは数回話した程度の間柄だが、こんな訳の分からない場で死んでいいような奴ではなかった。 そしてそれはここに連れて来られた三人の教え子達も同様だ。お調子者だったり、不真面目な所もあるが皆良いやつらばかりだ。 こんなふざけた事をしでかしたあのロン毛に怒りが湧くと同時に、どうすれば教え子たちを救えるか考えた。 己が直々に鍛えたのだ。そう簡単にくたばりはしないだろうが、集められた参加者の中には明らかに堅気では無い輩も混じっていた。 そんな連中に襲われればいくらあいつらでも危険だ。 どうすればいい?いったいどうすれば…… そのままじっと考え込み数分が経過した頃、男は覚悟を決めた。 教え子たちのために己の拳を血で染める覚悟を。 今の自分を彼等が見たら大いに失望するだろう。だが構わない。大切なものを守るためになら鬼にも悪魔にもなってやる。 支給品の手甲を装備しどこへ行こうかと思案した時、バイクのエンジン音が聞こえた。 音のした方へ近づくと一軒のガソリンスタンドが在り、バイクが止めてあるのを発見した。 修羅と化した男――AKYSは拳を強く握り締めると、参加者を殺すべく店内へ入っていった… ◇ 一瞬何が起こったのか雪華綺晶は理解できなかった。 ゼロが下がれと言ったのとほぼ同時に事務室のドアが破壊され、胴着を着た長身の男が飛び込んで来た。 ハッとゼロの方を見ると、彼は胴着男の放ったであろう右拳を掌で受け止めていた。 素手でドアを吹き飛ばす胴着男も恐ろしいが、それを平然とガードするゼロも只者ではない。 両者そのまま睨み合っているが、ゼロが沈黙を破る。 「聞くまでもないだろうが、どうやらゲームに乗ったようだな」 「…ああ。恨みは無いがお前らには死んでもらうぜ」 言い終わるよりも早く胴着男ことAKYSが左手でゼロを殴りつける。 しかし当たる寸前、ゼロのマントが生き物のように動き、AKYSの腕を絡み取る。 抜け出そうとするAKYSを待合室の方へと放り投げるが、下に叩きつけられる直前右手で床を殴りつけ落下を防ぐ。 「あっ、あの」 「下がっていろと言っただろう。巻き込まれるぞ」 呼び止める雪華綺晶へ再度警告をしゼロはAKYSを追って事務室を飛び出す。 相手は既に構え直しており、こちらを見つけるや否や怒声と共に正拳突きを繰り出してくる。 ゼロは素早くそれを避け、蹴りを叩き込むが手甲で防がれる。 「チッ…。無駄な抵抗しやがって」 「それはこちらの台詞だ」 今度はAKYSがお返しとばかりに殴りかかるが、ゼロは自分の拳をぶつけて相殺。 互いに己の拳をぶつけ合い、ラッシュの応酬が繰り広げられる 「オルルァ!オルルァ!」 「フンッ…!」 お互い徐々に殴る速度を上げていき、その余波で待合室の自販機や椅子が破壊されていく。 互いに一歩も引かず拳を打ち付けあう。 しかしゼロの拳がAKYSの頬を掠めると、相手の動きが一瞬鈍る。 その隙を見逃さず、ゼロが渾身の一撃を叩き込む 「ぐっ、おォォ!!」 咄嗟に両腕でガードするAKYSだが、ガラスをぶち破り外へと吹き飛ばされる。 追い討ちを掛けるべく自身も外に出ようとするゼロだが、両手に鈍い痛みが走っているのに気付く。 AKYSと激しく拳をぶつけあったせいだろうか。 4メートルを超える起動兵器に蹴り飛ばされても無傷だった己が、これしきで傷を負ったという事実に首を傾げる。 何か体に細工をされたか、胴着の男が思った以上の実力者だったか、或いはその両方か。 だがこの程度の傷どうということはない。 両腕を軽く振り痛みを振り払うと、外へ出て敵を追う。 外へ出ると血が点々と落ちていた。あの男のものだろう。 血はガソリンスタンドを出て左側に続いている。その先を見るとAKYSがふらつきながらもゼロを睨み付けてくる。 「それ程の力を持ちながら、あんなふざけた男の言いなりか」 「……」 呆れたようなゼロの言葉に視線を更に鋭くするAKYS。 ゼロが一気に片をつけようと近付くとAKYSも応戦するべく走り寄り殴りかかる。 拳と手甲が音を立ててぶつかり合い、衝撃でアスファルトが砕け散る最中 『ゼロさん上です!逃げて!!』 雪華綺晶の声が響き、ゼロとAKYSは咄嗟に言われた通り上を見た。 「あれは…」 そこには見た事の無い怪物が宙に浮き、こちらに黒い光弾を放とうとしていた。 ◇ 雪華綺晶はゼロに言われた通り事務室に隠れながら、間近で起こる戦闘を固唾を呑んで見守っていた。 ゼロも、襲ってきた胴着の男もまるで漫画のキャラクターのようにデタラメな動きで戦っている。 その現実離れした光景に夢でも見ているのだろうかと混乱するが、頭を振って意識を現実に戻す。 ふいに姉と友だちの事が頭に浮かんだ。 自分はゼロという殺し合いに反対する者と出会えた。だが彼らはどうだ? 姉二人とやらない夫は運動神経抜群だがゼロ達のような動きは当然できないし、やる夫に至っては体育の成績は常に1という有様。 もしも彼らがが胴着男のような危険人物に襲われていたら?いや、ひょっとしたらもう既に… 脳裏に浮かんだ最悪の光景を必死に振り払おうとするも、一度想像してしまったらそう簡単には消えない。 (姉さん…やる夫さん…) 震えだす自分の体を両腕でキツく押さえつけ俯く。 怯える彼女の耳にガラスの割れる音が響いた。 咄嗟に顔を上げると、胴着男が外に殴り飛ばされたのが見えた。 男を追ってゼロが外へと飛び出したのを見て、自分も様子を見に行こうかと考えた時。 “ソレ”が目に入った 「なに、あれ…?」 赤い女性のようなモノが宙に浮いている。 上半身はドレスを着ているようにも見えるが、下半身は芋虫のような形で一番下から目玉が覗いている。 顔は下半分しかなく、上には触手のようなものが生えていた。 超人的な力を持つとはいえ見た目は人のそれと変わらないAKYSやゼロと違い、あちらは完全な怪物だ。 突如現れた異形に凍りつく雪華綺晶を尻目に、事は進んでいく。 怪物の両手に赤黒く輝く玉が現れる。そしてゼロ達に当てるべく狙いを定めていた。 ゼロも胴着男も、この怪物の出現にはまだ気付いていない。 「どうしよう…このままじゃゼロさんが…!」 今外へ飛び出しても間に合いそうに無い。大声で危険を知らせようにもこの戦闘音では聞こえるかどうか怪しい。 焦りが募る中ふと支給品の存在を思い出した。 バッグから蝶ネクタイを取り出すと、音量のダイヤルを最大まで上げる。 そして息をすぅと吸い込み叫んだ。 『ゼロさん上です!逃げて!!』 ◇ ゼロとAKYSが見上げる先に居る謎の赤い怪物。 「ウェイ!」 そいつはこちら目掛けて、奇妙な声を発しながら光弾を撃ってきた。 ゼロはすかさず、羽ばたく鳥のような紋章を右手に光らせ、それを光弾へと向ける。 すると光が当たった瞬間光弾は消失した。 傍に居たAKYSも攻撃を免れる形となったが、別に意図してやった訳ではない。偶然だ。 怪物が一瞬驚いたような仕草を見せるが、直ぐにまた連続して光弾を発射する。 しかしまたしても、ゼロの掌から発せられる光に当たると全て消え失せる。 埒が明かないと判断したのか、怪物は標的をガソリンスタンドの方へと変える。 ゼロもそれを察し己の能力を発動する。 「っ!?え、え?」 「話は後だ。行くぞ」 黒い渦のようなものがいきなり現れ、そこからゼロが姿を見せる。 外に居た筈のゼロが突然目の前に現れたため、雪華綺晶は目を白黒させ困惑した。 「エ゛エ゛ーイ!」 だが移動する暇は無い。掛け声と共に無数の光弾がこちらへ発射された。 発射された光弾は給油機やハードボイルダーに着弾、大爆発を起こす。 その影響で、炎の波が辺り一面に大きく拡がった 「きゃっ」 「チィッ!」 雪華綺晶とゼロの姿は爆風に包まれ、あっという間に見えなくなった。 ………… 燃え盛るガソリンスタンドを暫し見つめていた怪物だったが、やがて視線をAKYSの方へ移す。 しかし、既にAKYSの姿はどこにも無い。 ドサクサに紛れて逃げたか。短時間でそこまで遠くに行けるとは思えないが、何か支給品を使ったのだろうか。 まぁいい、次に会ったら確実に息の根を止めてやる。 浮遊していた異形は道路へ静かに降り立つと変身を解く。 「結構使えるな、これ」 その言葉と共に現れたのは青い服を着た茶髪の美少年。 彼の名は星君。 チャージマン研こと泉研の学校に転校してきたスポーツ万能の少年…というのは表向きの話で、その正体は地球侵略を目的とした宇宙人、ジュラル星人の一派である。 人気の無い場所に研を呼び出し抹殺しようと正体を明かした直後、この殺し合いに拉致された。 とりあえず現状把握に努めようと名簿を確認したところ、知っている名は宿敵の泉研ただ一人。 ジュラルの同胞が呼ばれていないのならば、優勝を目指すのに抵抗は無い。 それにあのロン毛はどんな願いも叶えてくれるらしい。正直半信半疑だがもし本当ならばその力で地球の完全征服も夢ではないかもしれない。 「早速二人殺せたし、幸先良いスタートだな」 星君に配られたタブーメモリという名の支給品。 これを使い変身したタブードーパントという異形の力は、ジュラル本来の姿の時よりも強力な力を持っていた 星君は知らない事だがタブーメモリはゴールドメモリと呼ばれる特別な代物であり、通常のメモリとは一線を画する力を秘めている。 想像以上のアタリ武器を手に入れられた事に星君はほくそ笑む。 とはいえいつまでもここでのんびりしているわけにもいかない。 「さぁ出発DA☆」 爆発に気付いた参加者が集まってくる可能性は十分にある。 やや駆け足気味で星君はその場から離れていった。 【星君@チャージマン研!】 [状態]:健康 [装備]:ガイアドライバー+タブーメモリ@仮面ライダーW [道具]:共通支給品一式 [思考] 基本:優勝する 1:この場から離れる 2:参加者を全て殺す 3:チャージマン研は優先的に殺す 4:胴着の男は次に会ったら確実に仕留める [備考] ※参戦時期は研に正体を知られた後 ◇ 「……そろそろいいか」 星君が去り、バチバチという燃え盛る音のみに支配されたガソリンスタンド付近。 蚊の鳴くような声がしたと同時にAKYSが姿を現す。 AKYSは逃げてはおらず、ずっと燃えるスタンドの付近にずっと居た。 手甲の他にもう一つバッグに入っていたもの。 とある世界の魔法少女が自分の体の大きさを変化させる際に用いたステッキ。 AKYSはあの怪物からは逃げ切れないと判断し、ステッキで体を小さくし、息を潜め星君が去るのを待っていたのだ。 「あいつらは死んだのか?」 自分を追い詰めた仮面の魔人と、一緒に居た白い少女。 爆発に巻き込まれ死んだのだろうか。とてもじゃないがあの爆発で生き残れるとは思えない。 「…」 負けるつもりは無かったがかなり苦戦を強いられた。 気味の悪い怪物に横槍を入れられ、無様に隠れる羽目になった。 自分自身を守るだけでも命がけなこの状況で、本当にあいつらを生き残らせることができるのだろうか。 「…チッ」 つい情けないことを考えてしまった自分に舌打ちをする。 そんな姿勢では教え子たちを守るなど無理に決まっている。 相手が誰だろうと関係ない。たとえどんな化け物がいようと全てを叩き潰す。 今一度決意を固めるように拳を握り締めると、激しく燃える建物を背にAKYSもその場を離れていった。 【AKYS@真夏の夜の淫夢】 [状態]:疲労(大)、全身にダメージ(中)、両腕に若干の痺れ(徐々に回復) [装備]:徳川家康の手甲@戦国BASARA [道具]:共通支給品一式、スモーラージ・Mのステッキ@魔法少女オブ・ジ・エンド(体を小さくする魔法2時間使用不能) [思考] 基本:野獣、MUR、KMRの三人を生き残らせる 1:ガソリンスタンドから離れる 2:誰が相手だろうと容赦せずに殺す 3:野獣たちには会いたくない [備考] ※迫真空手部の師範代をしている設定です。遠野とも面識があります ※ガソリンスタンドで火災が発生中です ※ハードボイルダー@仮面ライダーWは大破しました ◇ 会場北部にある園咲邸。だがそれとはまた違う豪邸が、この会場には存在する。 日焼けをするには持って来いの屋上や、後輩を昏睡レイプするのに最適な地下室を兼ね備えた快適な空間。 「はえ^~」と思わず感嘆の声を出してしまいそうなその豪邸、名を野獣邸という。 本来ならばクッソ汚い野獣一家の住まいである場所だが、この地では会場にある一施設でしかない。 ひっそりと静まり返っている野獣邸だが、静寂を破るように玄関の扉が乱暴に開けられ、黒尽くめの男が押し入る。 男は邸内に人が居ないのを確認すると、抱きかかえていた少女をリビングのソファーに寝かせ、自分も近くの椅子に腰を落ち着ける。 「…散々だな」 男――ゼロはため息を吐くと、視線を天井へ浮かべつつ先程のガソリンスタンドでの一件を思い出す。 赤い怪物が攻撃の対象をガソリンスタンドへ変えた時、すぐさま瞬間移動で雪華綺晶の元へと移動。 給油機の爆発に巻き込まれる直前再び瞬間移動を使い、隣のエリアへと跳んだ。 本当はもう少し遠くへ移動しようとしたのだが、何故か隣のエリアで強制的に瞬間移動が解除されてしまった。 身体能力の不調といいつくづく面倒なことに巻き込まれたな思い、同時にあのロン毛が一筋縄ではいかない相手だと再認識する。 (ゲームに乗った者を二人、取り逃がしてしまったか) 優れた戦闘力を持つ胴着の男と赤い怪物。 元々の能力か支給品の効果かは不明だが、奴らを仕留めることはできなかった。 とはいえ、雪華綺晶を守りながら二人を同時に相手にしては流石にこちらが不利なので、撤退せざるを得なかったが。 だがバイクという貴重な移動手段を失ってしまったのは痛い。 「ん…」 と、雪華綺晶が小さく寝息を立てたのを聞き、ゼロは顔をそちらに向ける。 エリアを移動した時には呆然としてながらも起きていたが、やがてフッと意識を失った。 一般人が現実離れした戦闘を間近で目の当たりにし、そのうえ爆発で死に掛けたのだ。 緊張の糸が切れたのだろう。無理もない。 一先ず彼女を寝かせられる場所を探すことにしたゼロは周囲を探索し、野獣邸に辿り着いた。 眠り続ける雪華綺晶を見ながらゼロは今後の事考える。 このまま雪華綺晶を守り続ける義理など自分には無い――が、同時に見捨てる理由も無い。 会場に居る間は彼女に同行し、知人を探すのにある程度協力してやってもいい。 こんな選択をするのは魔王となった今でも良心を捨て切れていないからだろうか。 「ふん…」 浮かび上がった疑問を打ち消すように鼻を鳴らすと、雪華綺晶が目を覚ますまで邸内の探索でもしようかと思い立ち上がった。 【雪華綺晶@やる夫スレ】 [状態]:精神疲労(中)、気絶 [装備]:無し [道具]:共通支給品一式、蝶ネクタイ型変声機@名探偵コナン、FN ブローニング・ハイパワー(13/13)@現実、予備マガジン×4 [思考] 思考:姉さん達ややる夫さんに会いたい 0:気絶中 1:姉さんたちを探す 2:胴着の男(AKYS)と赤い怪物(星君)に恐怖 [備考] ※以下本ロワでの設定 人間の女子高生で一般人 水銀燈→雪華綺晶たち7人姉妹の長女 翠星石→7人姉妹の三女 やる夫→二つ上の学年で幼い時から姉妹とは親交がある やらない夫→やる夫の同級生で彼の親友。姉妹とは中学時代から知り合った 伊藤誠→二つ上の学年。面識は無いが悪い噂は時々耳にする 【ゼロ@コードギアス ナイトメア・オブ・ナナリー】 [状態]:疲労(大)、両手に鈍い痛み、回復中 [装備]:無し [道具]:共通支給品一式、篠崎咲世子のクナイ×10@コードギアス 反逆のルルーシュ [思考] 基本:主催者の殲滅、元の世界で魔王の役割を果たす 1:野獣邸一階を探索する 2:雪華綺晶と行動し、互いの知り合いを探す 3:他の参加者を探し情報を集める 4:胴着男(AKYS)、赤い異形(星君)は殺す 5:首輪と能力の不調をどうにかしたい [備考] ※参戦時期はLAST CODE『ゼロの魔王』終了時 ※瞬間移動は最大で隣のエリアまで。また連続使用や移動距離が遠いほど疲労増加